『復興へ 頑張ろう!みやぎ』ロゴマーク  この度の東日本大震災(2011<平成23>,3,11)に際しては、多くの方々より安否確認や支援を頂き誠に有り難うございました。私共は幸いにも人的被害はなく、物損も比較的軽微なものでした。然し乍ら、犠牲となった多くの生命や、住居、仕事を失った人達に思いを致すと胸が痛みます。

 今起こっている事は、単なる被災地の問題ではなく国家的非常事態まさに国難ですが、市民運動あがりの宰相や政党を装った選挙互助会には国家観など有ろう筈もなく、震災を政権延命の好機と捉えている様です。

 「無事なら、早めにホームページを更新した方が良い。」との助言や激励を頂戴した事もあり、震災時に役立った物の紹介等も含め今回の事を書き留めておこうと思います。 (2011,5,9)


発生直後

 「これはでかい。」今まで、震度5程度の地震は何度か経験しているが、それらとは全く違って(山元町に於ける公称値:6強)いた。そして、長かった。いつもは数十秒で収まるが、この時は分単位で続いた様に思う。揺れの大きさも然る事乍ら、継続時間が長く収束の方向が見えない為、更に揺れが強まるのではと言う不安がよぎった。

 その日に限って、ストーブで薪を焚いていた。毎日燃やす訳でもないのに、やりたい作業が有り火を入れた。その時は盛大に燃えていた。流体燃料ではないので瞬時消火は出来ない。

 火事を出すのだけは避けたくて、煙突が外れるなど危険な事態に陥ったら消火器を使おうと箪笥を押さえ乍ら見ていた。火災には至らず、長い揺れも収まった。家具の転倒や壊れ物の落下も無かった様なので、取り敢えずテレビを点けてみた。都内で煙が上がっている建物がある等と言っていた。

 年寄りに余計な心配をさせない様、停電する前に電話する事を思い付き実行した。加入電話で長話になると電話代が莫迦らしい。

 その後、家の周囲を見ようと玄関に行って驚いた。引き戸が2枚、家の内側に倒れている。コンクリートの三和土が下がった事で、レールから外れる様になった訳だ。斜面を造成した関係上、家の東南角付近が盛土の所為で沈んだ様だ。ガラスが割れなかった事を良しとしよう。この時は、「明日にでもセメントを買って来て修理しよう。」と、今にして思えば暢気な事を考えていた。

沈下
<左側>玄関開口部西側柱付近

<右側>玄関開口部東側柱付近

<下側>三和土の沈下に依り出来た亀裂


・基礎コンクリートの亀裂は震災前から有った(不同沈下に依る)が、地震で大きく拡がった。


 そのうち、防災無線や消防の広報活動で大津波警報の発令や「津波が山下駅付近まで来ている。」と言った具体的な情報まで聞こえて来たので、双眼鏡を持って山に上がりアンテナタワーから観測した。km単位の幅を持つ白波が岸に向けて押し寄せて来るのが見えたが、至近距離ではない事や海岸付近が見えない事から、後日知る事になる惨状が起きているとは知る由もなかった。

 近隣の家でも人的被害の無い事が確認され、そのうち女房も帰って来て暫しの耐乏生活が始まった。


電気が回復するまで

 地震発生後、10分程度(当日3PM頃まで)電気は生きていた。その後停電し、3/17に復電するまで6日間停電した。

 オール電化の様な馬鹿げた事はしていないので、停電したらお手上げという事は無かったが、照明は電気に依るのが合理的と感じた。ガソリンや灯油のランタンでもかなり明るいが、誰でも簡単に使えるとは言い難い。拙宅ではローソクを主体に懐中電灯を補助的に使った。

 夜は、ラジオを聞きながら早めに寝た。壊れかけたラジカセが電池でも動くので役立った。町中が真っ暗な中で、かなりの数の船の明かりと思しき物が見えた。夜を徹して捜索活動をしていたのだろうか。当日ではなかったが、満天の星空に満月に近い月が寒々と光っていたのを覚えている。

蝋燭
<左側>新品のローソク(35cm、40φ)

<中央>停電期間中に使ったローソクの残り

<右側>燭台:トイレや台所への可搬用。神棚から拝借した。


・外装フィルムを剥がさずに使う。熔けたロウが流れず長い炎が得られ明るい。フィルムも適度に熔け短くなる。着火しても自己消火性があり問題ない。


石油ストーブと湯たんぽ
・電気仕掛けの無い石油ストーブが役立つ。暖房はもとより、湯を沸かしたり炊事にも使える。

・湯たんぽは、寝る前に冷たい布団を暖めるのが本来の目的だが、停電時の電気炬燵に入れるとほんのり暖かく結構使える。最近はPP(ポリプロピレン)製の軽くて見栄えの良い物もあるが、昔ながらのトタン製が良い。PPでは直火で暖める訳には行かない。何年か前に酔っぱらって使い低温火傷をして笑われたが、思わぬところで役立った。


中古電池の流用
・壊れかけのラジカセが2電源で動くので役立った。通常時AC100Vで使っており、電池が入っている事さえ忘れていたが、裏蓋を開けるとマンガン電池が入っていた。以前DTMFに依る無線リモコンの実験をした時に入れた物だ。右側に見えるリード線はその時の名残で、低周波信号を取り出す為にVR両端に繋がっている。

・忘れていたマンガン電池と言う事もあり、当日は何とか使えたものの次の日には音が出なくなった。単2電池6本が必要だが、調達できる訳がない。使い捨てカメラに組み込まれている電池等、単3型アルカリ電池の中古品が少なからず有る。そこで電池ホルダ共々引っ張り出して来た。

・電池動作を前提とした電子回路では、公称電圧1.5Vの電池が0.9V位になるまで動作する様に設計されている。照明用で明るさに不満なレベルでも、赤外リモコンには使える。赤外リモコンで動作が不安定になっても、時計でなら未だ使える。使い切る事が省資源に適っている。

・試作品の電池動作を確認する事があるので、単3×4本用ホルダのリード線にICクリップを付けた物は以前から用意していた。今回のラジカセは9V仕様なので、追加の電池ホルダと一端にICクリップ他端にミノムシクリップを付けたリード線を使い、電池7本を直列にして使った。へたり気味の電池なので6本ではなく7本とした訳だが、電池動作の機器は1.6V位ある新品電池にも耐える様、正常動作範囲が広いので問題ない。

・電池電圧が下がってくると、音が歪み出しやがて鳴らなくなる。この時、個々の電池の電圧を測ると、全体が均等に低下してはおらず1本だけ極端に下がっている場合が多い。当該電池だけ換えると暫く使える。(平常時に、この使い方は勧めない。異常な電圧低下や極性反転を見逃し、漏液させる懸念がある。)


通信が回復するまで

 停電後、暫くは加入電話(アナログ回線)が使えたが交換所のDC電源が無くなった様で翌日くらいには不通になった。大手マスコミが垂れ流す情報は欲しいとも思わないが、インターネットに接続できないのは不自由だと感じた。メールが溜まっているだろうと言う予測もあり、3/17に電気、通信とも回復している地域の知人宅でパソコンを借りてログインしメールを片付けた。

 加入電話の回復は比較的早かった(記憶が定かではないが3/19には町内の知人に電話した記憶がある)が、インターネットが回復したのが3/23で翌日にIP電話が開通した。


水道が回復するまで

 上水は翌日夜まで持ち堪えていたが、町営水道の貯水が尽きた所為か日曜(3/13)朝には断水した。県道を挟んだ向かい側の川から水を汲んでも問題なし(上流に人家や農地が無い)と踏んでいたので、風呂桶に溜めておく等の対策は取らなかった。県道を1km程登って行くと水汲み場があり、その水だと間違いなくそのまま飲めるので汲みに行っても良いと思っていたが、様子を見に行くと片側車線が塞がり長い車列が出来ていた。

 仕方が無いので当初の予定どおり川から水を汲んで使った。但し、野生動物の糞等の混入も考えられるので生水は飲まない様にした。水質に不満は無いものの、20リットルタンクに汲んで足場の悪い場所を徒歩で運ぶのは結構きつい。そこでこんな時の為にと確保しておいた500リットルタンクで一度に大量に運ぶ事にした。

 そんな物を日中に持ち込むと顰蹙を買うので、深夜に汲みに行った。4/5頃に断水が解消したが、それまで3回運んだ。1回目の時は朝になると毎日の様に氷が張っていた。
500リットルタンク
・蛇口はオプション。

・軽トラなので過積載。貰い事故でも当方が原因者とされかねない。日中を避けたのはそう言う意味合いも有る。

・転落防止の為、荷締めベルトで固定する。

・蛇口を荷台から突き出す為、前輪荷重が極端に軽くなるので要注意。


 下水道は入っておらず将来とも敷設の計画は無いので合併浄化槽を使っているのだが、処理水を便器洗浄に再利用するようにした事が今回実に役立った。復電してポンプが回るようになれば、使っても惜しくない水がロータンクに自動給水される。バケツでロータンクに水を移すのは結構大変だ。

 停電中はバケツで移さざるを得なかったが、その時は汲んできた貴重な水を使いたくないので、「処理水オーバフロー分+雨水」を土壌浄化した水を使った。浄化槽を埋める際に穴を掘った訳だが、極端に堅く透水性のない土質であり、そのままでは雨水が溜まり浄化槽に浮力が働くので溝を切って水抜きパイプを埋めた。当該パイプの開口端を敷地内のより低い場所に出してある。当初は処理水のオーバフロー分は敷地外(県道側溝)に放流していたが、水中ポンプ破損後のここ何年かは汲み上げずに透水管埋設部に落としている。つまり雨水と一緒に土中を通って前述のパイプから、ちょろちょろと流れ出る訳だ。その水は土壌浄化されているからか、透明度は水道水と変わらない。土壌を通す前の処理水は、便器洗浄には問題ない程度には透明で臭いも無いが、完全に無色と迄は言えない。

 水抜き管から流れ出た水は、その量からしても蒸発や地下浸透で済んでおり宅地外への流出は無いと思われる。終末処理場が壊れ下水管が溢れそうになっている地域に、一切の負担を掛けていないので精神衛生上も良い。更には池を掘ってその水を流し込む事も考えている。序でに魚を飼えば非常時の食料にもなり一石二鳥だ。


その他

 二輪車(250ccオフロード)が役立った。未だ寒い時期でバッテリは外してあり直ぐに乗れる状態ではなかったが、翌日には早速使えるようにした。乗用車では到底通れない所も行けるし、どれほどラフに乗っても30km/lは堅いので燃料の貴重な時に助かる。

 いざと言う時に使える状態を保つには、長時間(冬期等)乗らない際以下に注意すると良い。

・バッテリは外して満充電で保管する。

・燃料タンクは満タンにしておく。

・キャブレタのフロートチャンバは空にしておく。

 写真に示す「ささやかな地震対策」が役立った。見栄えはイマイチだが、簡単且つ安価に出来るのでお勧めする。

開き止め
<上>ストッパを掛けた状態

<下>ストッパ部拡大


・観音開きの物入れ。扉を簡単なキャッチで受けているだけなので、中の収納物が暴れたら簡単に開いてしまう。

・テーブル用折り畳み脚を流用してストッパとした。

・テーブル用折り畳み脚はホームセンタ等で種々のサイズが売られている。

・脚を一旦外して裏返し、本来の向きと反対にしている。

・脚はワンタッチで下がるので、扉開閉の邪魔にはならない。



震災後の家屋改修等々

 「震災後の...」と書いたが、震災前から有った不具合の改修も含んでいる。主容作業内容は以下の様なものだ。

土台上げ

床下湿気対策及び床板の張り替え

箪笥の転倒防止対策

1.土台上げ

亀裂
<上>基礎に入った亀裂と地割れ

<下>方向を変えて写した亀裂


・無筋コンクリートの布基礎なので、簡単に割れてしまった。

・鉄筋入りのベタ基礎であれば、こうはならなかった筈だ。


沈下した柱
・基礎が沈んだので、土台とそれに載っている柱も下がった。

・単純な沈下だけでなく、造成前の斜面に沿って流れ落ちる様に動いた様で、柱が北側に傾いた。

・柱と横桁のなす角度が、鈍角になっている(本来は直角)のが分かる。


抜けた大引
・上記の「斜面に沿って流れ落ちる動き」に伴う横方向の力に依り、大引が抜けた。


修理部分位置関係
・写真中央付近の柱が、上記の「北側に傾いた柱」。

・写真右側の土台(屋内東西方向)から、大引が抜けた。

・抜けた大引きを元に戻す為に、2mの全ネジボルト(1/2"、4分)をセットしてある。

・写真左側の柱は、玄関開口部西側の物である。

・更に左側に見えている構造物は、玄関を二重扉とする為の物で、元は屋外だったコンクリートの三和土に張り出して増設した。

・玄関開口部が修理完了までがら空きなのは不用心(入って来るのは人間の不審者だけとは限らない)な事に加え、震災前から冬場の寒さ対策、結露対策をしたいと考えていたので、引き戸を二カ所に付ける事にした。

・防寒対策としてはペアガラスの断熱引き戸を使う手も有るが、1枚ガラスの普通引き戸を2組買うよりも高額な上に、重くて一人で建て付けをするのは大変だ。安い引き戸で緩衝空間付きの二重扉とし、両方の引き戸を同時に開けないようにする(冬の北国の飲み屋のイメージ)方が遙かに暖かい。


圧入部分
・蟻継ぎ部分が抜けたので、「掛矢で叩く」等ではなく「じわじわと力を加えて圧入する」やり方でなければ入らないと考えた。特殊な工具や機械に頼らない手法を検討した結果、ネジを使って締め上げる事にした。

・大引の両側にネジをセットし、交互に少しずつ締め込んだ。

・西側(手前が東側)のボルトは補強用に残すので、ワッシャとナットを噛ませてある。


ジャッキアップ_1
・ネジを使って大引を押し込むにしても、その大引が概ね水平になるまで土台を上げる必要が有る。

・土台の両側(屋内外)にジャッキを置き、基礎コンを斫って土台下に通したパイプを少しずつ引き上げた。(当然の事ながら、土台締結用アンカーのナットは外してある)


ジャッキアップ_2
・荷重を分散させる為、大引にもジャッキを掛けた。


土台受け
・土台が水平になるまで上がったら、土台の両側(屋内外)に打ち込んだ2本の縦パイプに渡した水平のパイプで土台を受ける。

・縦パイプは盛土層を突き抜け元来の固い層に届くまで打ち込んである。(1.5m程度埋まっている)

・仮設クランプを使ったので、微調整が利く。

・この状態でネジを締め込む事に依り、土台がパイプ上を滑って移動し大引が元の臍穴に収まる。


押し込み用当て金
・全ネジボルト末端の様子。Cチャネルの端材を押し込み用当て金として流用した。

・両方のナットを交互に少しずつ締める事に依り、柱と一緒に大引が北向きに移動する。

・柱が水平方向に動けるよう、土間コンクリートを掘ってある。


大引末端_1
・大引末端と柱の収まり具合。

・受け金物をセットする為に、柱を大引より下の箇所で切断した。

・これらのパイプや金物は、後日コンクリートで埋めた。

・大引上部に、全ネジボルト残材を利用した羽子板ボルトを付け補強した。


大引末端_2
・上方から撮った大引末端と柱の収まり具合。

・この2本の縦パイプも、充分な深さまで埋まっている。

・大引に掘られている丸穴は、元々のアンカーボルト用。


holder_1
・土台上げ作業では元々のアンカーボルトについて、ナット除去(単純上げ作業の場合)またはボルト切断(水平移動を伴う場合)が為されるので、何らかの締結手段を取らないと土台がパイプの上に載っているだけとなり、上向きの力(地震、強風等)が掛かると不都合を生じる。

・そこでLアングルとUボルトを使い締結した。


holder_2
・横方向から撮った土台締結部分。

・奥(西方向)にも縦パイプが2本見える。西側ほど沈下量は少ない(=盛土量が少ない)ので、西側から作業を始めた。

・これらの縦パイプは後日型枠を組み、元の基礎と一体になるようコンクリートを流した。

・基礎と土台の隙間から、何度か鳥(ジョウビタキ)が入って来た。冬鳥と言えども、少しでも暖かい場所の方が良いと見える。


2.床下湿気対策及び床板の張り替え

 震災前から床にぶよぶよした箇所が有り、根太の折損が擬われたので、折を見て修理しなければと思っていた。夏場の湿気にも悩まされており、原因は床下に有る事も予想していたので、対策を打たなければと考えていた。震災後の後始末をせざるを得ないので、長年の懸案だったこれらの作業も併せてやる事にした。

床板沈下
・畳を捲った時の床板の状態。

・明らかに陥没しており、畳越しに踏むと上下に動く。


根太折損
・床板を剥がした状態。

・根太は完全に折れていた。畳で辛うじて持っており、床板(12mm杉板単板+シージングボード)だけなら踏み抜いたと思われる。


床下全景
・根太を取り除いた状態。

・根太は酷かったが、大引は白蟻食害も無い様なので、そのまま使う事にした。

・床下は土が剥き出しで、湿気対策は皆無。今なら鉄筋入りのベタ基礎とするのだろうが、昭和58(1983)年の建物では単なる布基礎でもやむを得ない。


ブルーシート敷設
・ブルーシートを敷き詰めた。

・ブルーシートは湿気対策ではなく、腹這い作業時の汚れ防止である。

・床束は高さ調整が可能なプラ束に換えた。この時は仮設置で未だ固定していない。


防湿シート敷設
・湿気対策完了。

・ブルーシート上に更に防湿シート(0.15mm厚PE)を被せ、継ぎ目と基礎コンや束石に接する箇所にはブチルテープを貼り、湿気の浸入と動物の侵入に依るずれ防止を図った。

・束石付近のシートを上から押さえ付ける目的で古タイヤを置いた。タイヤ内にコンクリートを流し束石と一体化する事も考えたが、そこから出る水分が飛ぶまで床張り作業を延ばす訳にも行かず断念した。

・大引補強の為、2×4材を抱かせている箇所が有る。プラ束に付着しない様注意して、クレオソートを塗った。

・この部屋は床板が無いので楽だったが、床はそのままで防湿シートの敷き詰めをした場所(縁側、廊下、押し入れ等)では腹這い作業を強いられ大変だった。身動きのままならない場所で蛇やムカデと遭遇するのは嫌なので、寒い時期にやった。


畳部分下張り#1
・床張り作業#1

・元は畳8畳敷きの部屋だったが、畳は3枚だけにし残りは板張りとした。床板が一部張られている箇所に畳を入れる。

・床は二重構造とした。見えている床板は下側の板で、塗装コンパネの塗装面を床下に向けている。隙間はシリコンシーラントでコーキングした。

・根太には基本的に2×4材を使った。


畳部分下張り#2
・床張り作業#2(上記の同じ場所を違う向きから撮ったもの)

・根太間に渡っている胴縁様の材料は、下床板の踏み抜き防止(=上に載って作業ができる)用に設置した。


床断熱
・畳スペースに断熱材を入れた。

・板張りスペースにも下床板が張られている。

・下張り未完の箇所が有るが、床暖用配管作業の為の開口部として使う為に、この時点では張っていない。


畳スペース完成
・畳スペースの床張り完了。

・上床板には針葉樹合板(杉、12mm)を使った。


畳敷設
・畳設置完了。

・なるべく日焼けしていない畳(箪笥が置かれていた場所)を選んで使ったが、それでも結構くたびれている。

・布団を敷いて寝るだけの場所なので、気にする事も有るまいと思っている。

・この後、残った板張りスペースに断熱材を入れ上床板を張る事になる。

・二重床は基本的に袋構造としたので、断熱材が必須と言う訳ではない。入れるにしても専用の材料(グラスウール、ロックウール、成型された発泡材等)でなくても問題無かろうと考え、処分に困っている発泡スチロールの屑等を多用した。


[湿気対策の効果]

 梅雨時の、「部屋がカビ臭い。」、「畳の上を歩くと足で湿気を感じる。」と言った現象が完全に解消された。冬の乾燥する時季には、床の絶縁抵抗上昇の所為でタッチスイッチ(人体に誘導される商用ACのノイズで動作するタイプ)が利かなくなり、アースに繋いだ接地電極を設けざるを得なくなった程だ。対策未実施の東側の部屋が、嘗ては最も乾いていたが、今では最も湿った部屋になった。
 家の北側と西側が斜面と言うロケーションなので、「風通しが悪い。」、「山から地層伝いに水が流れて来る。」等の悪条件が有る訳だが、地面から上がって来る湿気の遮断がこれ程有効とは思わなかった。
 それでも、夏場は高湿度の空気が床下に滞留しがちなので、好天の日は余った電気(系統連携--売電--していないので、使わない分は無駄になる)で床下換気をしている。

3.箪笥の転倒防止対策

 今回の震災では家具の転倒は無かったが、次はどうなるか分からない。就寝中に箪笥が倒れてきたら、痛いだけでは済みそうにない。
 対策の必要は感じていたのだが、部屋の構造(4面とも障子や襖)や、若干の思い入れが有る家具に金物を付けたりする事への抵抗も有って未実施だった。
 家具に手を加えない手法は以前から考えていたが、床を直したのを機会に実行する事にした。

箪笥1
・部屋の南西角に置いた箪笥(説明の都合上、箪笥1とする)


箪笥2_3
・向かって右側を箪笥2、左側を箪笥3とする。

・箪笥2、箪笥3は同じ外寸(W,D,Hとも)で、部屋の東側に並べて置かれている。

・箪笥2は箪笥1と向かい合って置かれている。

・横桁間を繋ぐ灰色の棒状物体は、塩ビ管(VP13)に1/2"全ネジボルトを通した物。ボルトだけでは、圧縮に対する抗力が弱いと考えVP13を併用したが、曲げに対しては充分ではなかった。金属管(白ガス管等)の方が良さそうだ。


横桁
・東西両側の箪笥押さえを繋ぐ横桁

・直角二等辺三角形になる様な斜めの部材を渡し、変形を防いでいる。

・同様の構造物を、全部で3本使っている。


箪笥4
・部屋の北西角に置いた箪笥(箪笥4)

・箪笥4の向かいには何も置かれていないので、近くに東西方向の横桁は無い。従って、写っている南北方向の2×4材単独で、転倒を防ぐのは難しい。そこで、北端部を鴨居に固定した。

・箪笥4と箪笥1では高さは同じだが、奥行きは異なる。

・建物に固定したのは、上記の1箇所のみである。横桁が天井に密着し、且つ天井と床に有る程度の強度が有れば問題無い(=条件が揃えば、借家でも使える手法)と思う。


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