これまでに寄せられた主な質問

---------------<安全性関連>------------------ 感電時の危険度：感電しても大丈夫か。 電撃を与える仕組み：高圧側の線だけで何故感電するのか。 火災危険性：草に触れた状態でスパークが続き、火災となる心配は無いのか。 点火コイル2次側の短絡：地絡状態で長期間放置しても、回路自体に問題は無いのか。ヒューズ等による保護は必要か。 放電実験：火花を再現させた場合、機械に悪影響は無いのか。

---------------<機能性能関連>------------------ 出力電圧：何V位出るか。 有効長：電柵線を何m迄延ばせるか。 能力向上策：改造して威力を強めたい。 火花が細い：火花が細いようだが、大丈夫か。 インジケータ：動作表示灯が有ると良いのだが．．．パイロットランプを付けたい。 基板上のスイッチ：基板上のトグルSWはどう使うのか。 照度検出点を変えたい：もっと明るい時から(or暗くなってから)動作する様にしたい。 照度センサのチェック：「AUTO]側でCdSを手で塞いでも電撃が発生しない。

---------------<他社製品との比較>------------------ 他社製品より強いか：○○社××(具体的機種名)より強いのか。 他社製品と比べると弱い：総距離5km引っ張っても、8000V出ている機種があるが．．．

---------------<電源関連>------------------ バッテリの持ち：どれ位の期間で充電が必要になるか。 充電目安：何V迄下がったら充電が必要か。 充電が上手くできない：頻繁に充電する必要がある。きちんと充電されていない様だ。 ソーラパネル併用：ソーラパネル利用で持ち時間を延ばせるか。 ACアダプタ：ACアダプタを使いAC運用したい。ACアダプタを併用し交直両用としたい。

---------------<電柵線敷設関連>------------------ 推奨電柵線：線の種類について、お勧めはあるか。 絶縁の確保：碍子を使わずに、支柱に巻いた絶縁テープで代用したいのだが．．． 接地について：正しい接地方法について知りたい。 舗装面での接地：駐車場の野良猫対策に使いたいが、コンクリートに良い接地方法はあるか。 電柵線段数：3段張りが普通かと思うが、4段、5段でも効果はあるか。2段に張った場合、全長何メートル位可能か。

---------------<製作組立関連>------------------ 製作用資料：カタログや資料はあるか。商品に同梱されるか。 製作後の動作検証方法：組立後、特に設置場所での動作確認について知りたい。 基板穴径：リード線を引き出す穴がもう少し大きいと良いのだが．．． 製作指導：製作途中のメールでの指導は可能か。 選択の判断基準：選択肢が多すぎどれを選べば良いか分からない。 高圧コード末端処理：点火コイルに高圧コードは付いているか。どのように電柵線に繋ぐのか。 CDIが欲しい：CDIタイプは販売中止と聞いたが部品はあるか。全波整流型CDIに興味があるが部品はあるか。

---------------<動作原理回路関連>------------------ フルトラタイプとCDIタイプ：どちらが高出力電圧か。車とバイクの点火システムの違いという認識で良いのか。 PolySWについて：基板シルク印刷の”PolySW”は何か。PolySWの構造やその使用目的を知りたい。 IGcoilの接続方法について：IGcoilの2次側の一端がHVで出力、もう片方は電源の+12V側に接続されているが、何故GND側ではないのか。 DC作動CDI：CDIタイプで、バッテリー駆動は可能か。 IGコイル1次電圧：1次電圧がフルトラでDC12V、CDIでAC200Vと極端に違うが問題ないのか。 IGコイル巻線比：自動車の場合1次側が400Vで2次電圧15000V程度だから、本装置の場合IGコイル巻線比1：37として、1次側が300Vで2次電圧11000V位発生するのか。

---------------<点火コイル関連>------------------ フルトラタイプにCDI用の点火コイル：フルトラタイプにCDI用の点火コイルでは、動作しないのか。 IGコイルの代用品：100Ｖヒータートランスで代用したいのだが。 IGコイルの極性：点火コイルの極性がわからない。 ポイントタイプのコイルを使いたい：ポイント式のコイルを入手したが、外付け抵抗とコンデンサが付いており接続方法が分からない。 コイル付近の異音：基板かコイルからカチカチ音がする。 開磁路で良いのか：HP掲載のコイルもヤマハのコイルも鉄心の両端が開放だが、これで良いのか。

回答

---------------<安全性関連>------------------ 感電時の危険度 　自身の感電経験や自動車整備業界に於いてイグニション周りの作業で感電死した事例も聞きませんので、普通の状態(ゴム長等を履き手で触れる)では、危険はないと思いますが、 ・心臓の弱った人ならどうか？ ・悪条件下(ex.水田の中で転び頭部で電柵線に触る)ではどうか？ と言われると、何とも言えません。感電自体は問題なくても、驚いて転ぶ等の二次被害もあり得ます。 　感電によるダメージは電圧ではなく体内に流れる電流により決まります。数万Vに及ぶ静電気で感電してもどうと言うことがない一方、電気設備の保守作業で200Vでの感電死亡事故があることからもご理解頂けるものと思います。 電撃を与える仕組み 　動物の体が経路となって、電柵線−地面間に電流が流れることにより電撃を与えます。依って、電柵線が地面に対して絶縁されていることが重要です。絶縁が完全であれば段数や長さには無関係に電柵線のどの場所も同電位になります。 　動物の体を介して電柵線と地面間に電流が流れることが大事なので、その経路に並列に入る抵抗分(支持物の絶縁抵抗、下草の接触等)は電撃を弱める要因になります。 火災危険性 　火災の危惧ですが、絶対にないとは言い切れないものの現実の使用状態では起き得ないと考えております。と言うのはコイル単体(電柵線につながず)で、高圧線とアース線を1cm位まで近付けると、かなり強い火花が飛びます。その火花に紙等を当てると、着火するくらいのエネルギーを持っています。因みに霧状の灯油に着火させるのにもCDIが多く使われています。 　只、これらの現象はきわめて狭い範囲に全エネルギーを集中させるから起きる訳で、畑に電柵線を張り巡らす場合は局所的にエネルギーが集中することはないと思われます。人為的にその様な状況を作るとすれば、極めて絶縁の良い電柵線に1箇所だけ可燃物を立て掛けることでしょう。 　特に、照度検出で日中の作動を停止する場合は、通電するのは夜露の降りている夜間だけと言うことになり発火するとは思えません。 点火コイル2次側の短絡 　通常のトランスでは2次側の短絡で過大電流が流れ巻線が焼損しますが、点火コイルは磁気漏れ変圧器の一種でして、2次側が短絡しても全く問題はありません。 　そもそも点火プラグでの飛火は、間欠的ではありますが火花を介して2次側をショートさせている訳です。安心してお使い下さい。 　地絡したからと言って、大電流が流れる訳ではないのでヒューズ等の追加は不要です。ポリSWの使用目的はバッテリ逆接時の回路保護です。(電池を使う物は必ず逆接が起こるという前提で設計します。) 　地絡状態になると高圧の発生は止まりますが、電子回路の動作が止まった訳ではなく何の問題もありません。絶縁が回復すれば高圧が出現します。 放電実験 　机上実験時の飛火は全く問題ありません。これが駄目ならガソリンエンジンの点火システムとして成り立ちません。発振周波数はエンジンの回転数に相当するものです。調整範囲内のどこで使っても構いません。但し、放電頻度が高ければ消費電流は増えますので、バッテリ運用する場合は徒に高くしないことです。

---------------<機能性能関連>------------------ 出力電圧 　高圧コードオープン(どこにもつながない)の状態で、ピーク値で2万V程度(点火コイルの一般的な性能や高圧線とアースを近付けた時の飛火距離による推定)は出ています。電流は分かりませんが、平均すると微々たるもの(2万VでmAオーダも出るのでは危なくて使えない) です。但し、出力はパルス的な波形で1発分の持続時間はごく短いものです。 　電撃装置は内部抵抗の高いパルス発生器と考えて下さい。無負荷では波高値で2万V程度のパルスが発生しますが、負荷(=電柵線)をつなぐことにより、その対地間絶縁抵抗と上記内部抵抗による分圧のため電圧が下がります。 有効長 　電柵の設置のやり方で大幅に変わりますし、条件を決めた上での実験データもないので「○○m迄は大丈夫」と言った表現は出来ませんが、実際に使って頂いている例を見聞きする限り、電柵線の絶縁(地面に対する絶縁、支持点に使う碍子等や下草の接触で決まる)さえ良ければ500m程度は問題なさそうです。 　要は、動物の体が経路となって電柵線と地面の間で電流が流れることにより電撃を与えます。従って、絶縁抵抗が動物の体の電気抵抗と大差のないレベルまで低下すると、有効な電撃を与えられなくなります。 　流れる電流は微々たるものなので、電柵線の電気抵抗による電圧降下は考える必要がありません。問題は対地面との絶縁抵抗でして、地絡状態等の極端な例では電柵線が幾ら短くても高圧は得られません。 　甚だ、情緒的で客観性のない言い方かと思いますが、繰り返し注文を下さるお客様が少なからず居られることからしても、一定の効果はあるものと考えております。 能力向上策 　CDIにしろフルトラにしろ、本来の目的がガソリンエンジンの点火用ですので、ピーク電圧は大差ないと思います。CDIではコンデンサの充電電圧を上げれば、2次側の電圧も上がる訳ですが無闇に上げるとコイルが層間短絡を起こします。実車の場合は400V程度でコンデンサを充電していますが、プラグ電極間で必ず飛火するので2次電圧は適度に押さえられコイルの絶縁破壊には至りません。一方、電撃装置では2次側は無負荷に近いので、充電電圧を300V弱の控え目な値としています。 　市販品の解析をしたことがないので想像ですが、ピーク電圧の高低より出力波形が重要なのではと考えています。時間幅が取れれば、ピークだけ高いパルス状の電圧より実効値が高くなるので有利になるだろうと言うことです。点火装置を目的外の電撃装置に流用することから来る限界は如何ともし難いのですが、回路をご自身で弄る気があれば若干の実験の余地はあります。 フルトラの場合 　4093からなる単安定マルチバイブレータが作るワンショットパルスで、コイル1次側に通電する時間を決めています。通電時間中にコイル1次電流が漸増し、回路遮断時の電流値で蓄えられる磁気エネルギーが決まります。 　現在は3.5ms程度にしていますが、これは控えめな値と思われます。実際、コイルメーカによって飛火の強さに差がある事や現在の回路に落ち着く前は5ms位にしていた事から、個々のコイルにとって3.5msが最適値ではなく、もっとパルス幅(=通電時間)を増やす余地がありそうです。依って、以下の手法が考えられます。 　・R3、C2からなる時定数を上げコイル1次側への通電時間を延ばす。 　　※1次電流が飽和したら、それ以上延ばしても無駄です。 CDIの場合 　・トランスのタップ等の調整により、充電電圧を上げる。 　・コンデンサの容量を増やす。 ※実験はご自身の判断でして下さい。 火花が細い 　火花が細いとのことですが、太い細いはなにぶん主観的な表現でして的確な回答ができるか不安が残りますが、以下の2通りの場合を想定してお答え致します。 �@正常動作品と比べ明らかに弱い場合 　コイルのインダクタンスが少ない等、ハード的な面での問題がある可能性があります。複数のコイルや基板で組み合わせを換えてみれば結論は出ると思います。 �A細いように感じるのでより太くしたいと言う要望の場合 　本来の目的がガソリンエンジンの点火用ですから、それを超える太い火花放電を実現するのは困難かと思います。 　細いように見えてもかなりのエネルギーがあります。高圧下での気化ガソリンへの点火は勿論のこと、大気圧下での噴霧灯油への着火も可能です。実験してみれば分かりますが、放電頻度が高ければ紙(ちり紙なら即座に、コピー用紙でも数秒で)にも着火します。 　正常動作品であれば動物に対して充分な電撃を与えられる筈です。(電柵線の対地絶縁に問題がないことが前提ですが) インジケータ 　1次側の発振波形でLEDを点滅させるのは、高圧の発生状態を反映したものではないのでお勧めしません。 　2次側に高抵抗を介して並列接続するのも、貴重なエネルギーの浪費になるのでNGです。 　ネオン管を2次側に直列接続するのがお勧めです。ネオン管の代わりにグローランプや逆並列にした2個のLEDも使えます。何れの場合も抵抗は不要です。 基板上のスイッチ 　"AUTO"で日中停止、"CONT"で連続動作です。暗い時だけ働かせたければ下側(AUTO)にして下さい。対象動物、動作確認等の理由から明るい時も動かす時は上側(CONT連続動作)にします。 　ついでに言うと、半固定抵抗(VR表示あり)は右に回すと高頻度放電になります。 照度検出点を変えたい 　CdSセルと直列の抵抗R1(47k)の増減に応じ、それぞれ暗い方、明るい方へ動作点が移ります。 照度センサのチェック 　手で覆ったくらいではCdSは遮光されません。「CONT」で放電するのであれば電撃発生機能には問題ありません。どうしても動作確認をしたければ、装置全体を暗い所に置くか濃色のパイプ様の物をセンサ部に被せてみて下さい。勿論、暗くなるまで待っても構いません。

---------------<他社製品との比較>------------------ 他社製品より強いか 　性能と経済性の両立を狙い、中古自動車部品(ガソリンエンジンの点火装置)を利用した電撃装置を作りました。元々は趣味の手作り品の様な格好で、近隣の農家等に使って貰っていたのですが、別冊現代農業に製作記事が掲載され遠方からも製作依頼が来るようになりました。散発的な製作依頼に「趣味の手作り品」では対応しきれないので、専用のプリント基板を作りそれを機に販売を始めた次第です。 　このような経緯から、今でも電子部品とプリント基板のみを欲しい(=組立はDIYでやる)と言う方が過半数を占めています。私としても完成品はご自身で作るのは厄介だと感じるお客様の求めに応じて提供させて頂く物と位置付け、一般的な商品のように不特定多数のお客様に広く販売するのは控えております。(悪用や誤用により危険な事態を招き得る物だからと言う意味合いもあります) 　そのような訳で、他メーカの製品を解析したり彼我比較等をしておらず「電圧○○V」の商品とあっても、それがどういう条件でどの部分の電圧を測ったものかも分からないため、弊社製の物がどの程度のレベルにあるのか正直なところ分かりません。 　お買上になったお客様から寄せられる情報では、市販品にも種々あって弊社製の物より強い物もあれば弱い物もある様です。 他社製品と比べると弱い 　比較検討や解析をした訳ではないので何とも言えないのですが、強力な市販品については内部抵抗の他に波形の違いがあるかと思います。徒に電圧を上げず時間幅で稼いでいる(=細いパルス状ではない)のだと思います。内部抵抗も低いのではと推測します。点火コイルから得られる電圧はピーク値こそ2万Vと高いものの、持続時間という点では極めて短い、パルス状の波形です。(決められたタイミングで火花放電を起こし、燃料に点火すると云う性格上やむを得ない) 　これに対し、仮に5000V程度でも連続的な正弦波様の波形が得られるとすれば、平均値としては遙かに高くなります。入手の容易な中古自動車部品を流用した安価な実用品が、狙いを定めて最適設計された物に及ばない部分があるのは、やむを得ないことと考えております。エンジンの点火システムの流用から来る限界とお考え下さい。 　弊社で開発した電撃発生器は「中古自動車部品の流用により、電撃装置が手軽且つ安価に再現できる。」ことが売りでして、専用に設計された従来品と真っ向勝負を挑むつもりで開発した訳ではないことを申し上げたいと思います。

---------------<電源関連>------------------ バッテリの持ち 　バッテリ容量、放電頻度(フルトラタイプは調整可)により大きく変わりますので、一概にどのくらいの期間というのは無理かと思います。1回/秒程度の放電、80Ah程度のバッテリでワンシーズン(春〜秋まで)放置して問題なかったという例もありますが、自動車用電池では深放電は避ける方が無難です。小さいサイズでよいので2個用意して交互に使うのがお勧めです。やたらに高頻度放電しなければ、バッテリ管理が気になる程の消費電流は流れない筈です。 　単1アルカリ乾電池を8本で、1ヶ月近く使ったという人もおります。(話を聞いただけで、私自身では確認しておりません)何れにしろ、自動車用鉛蓄電池を使うのであれば、電池の性格上、深放電には向きませんので早めの充電をお勧めします。 充電目安 　鉛電池の放電終止電圧は10.8V(1セルあたり1.8V)と言われていますが、自動車用電池は深い放電には向きません。 　自動車の使われ方からも分かりますが、エンジン始動時だけ大電流が流れ後は殆ど満充電です。車の場合は振動で電解液が適度に攪拌されますが、電柵の場合はそれが期待できないのも不利な点です。 　ぎりぎりまで使うよりは早めの充電をお勧めします。大容量でなくとも良いから2個用意し、定期的に入れ替え待機状態の物は満充電にしておくのが理想的です。 充電が上手くできない 　一度、バッテリ電圧と充電電流を測りながら充電がきちんと行われているか確認する必要があると思います。着眼点は以下のとおりです。 ・充電開始時のバッテリ電圧は何Vですか？→ 過放電はしてませんか？ ・充電開始時の充電電流は何Aで、充電時間は何時間ですか？→ 必要充電量は確保されてますか？通常の充電器は定電流充電は出来ないので、初期電流が所定値でも定格Ahにはなりません。 ・充電終止電圧はどのくらいですか。→ やたらに速く端子電圧が上がる電池はへたっている場合が多いのです。 ※二輪用のシール電池には、充電初期電流が若干流れ難く開放電圧の低い充電器では上手く充電できない物があります。 ソーラパネル併用 　ソーラパネルの併用は、充放電バランスが上手く取れるのであれば有効と思われます。 　どの程度の規模が必要かは何とも言えません。(ケースバイケースです) ACアダプタ 　ACアダプタを使うのであれば出力電圧12V、電流は500mAもあれば充分です。但し、軽負荷時の電圧上昇を避けるためスイッチングタイプを使って下さい。となると、入手性の良い市販品は12V1Aあたりでしょうか。 　ACアダプタは屋内使用が前提です。雨や日当たりによる高温の影響を避けるよう、設置場所に気を使って下さい。筐体内、筐体外配置とも可能ですが、雨や直射日光に曝されない場所にACコンセントがあり、且つ電撃装置にケーブルが届くのであれば筐体外配置の方が有利と思われます。

---------------<電柵線敷設関連>------------------ 推奨電柵線 　電柵線については、撤収再使用の予定がないのであれば通常の針金(亜鉛メッキ鉄線)で構いません。再使用する場合はナイロンロープに細ステンレス線を編み込んだ物が扱い易いと思います。 　電圧降下やケーブルサイズについてのご質問がありますが、発生電圧はパルス状の波形で電流は微々たるもの(高圧で低内部抵抗の電源では危なくて使えません)です。従って、電柵線の電気抵抗による電圧降下は考える必要がなく、物理的な強度の問題がなければ太い物を使う必要はありません。 　金属線の電気抵抗と電柵線として保つべき対地絶縁抵抗は7桁くらい違うので、材質は全く無関係です。 絶縁の確保 　絶縁の確保ですが、仰る方法では無理があると考えます。19φのパイプ(不要となったビニルハウスの骨が流用可)にワンタッチで着脱できる碍子(磁器ではなくプラスチックのようだ)を使っている方が多いようです。農協等で扱っていると思います。 接地について 　接地電極として市販のアース棒を使う方が多いようですが、電力用の接地と違い大電流が流れることは無いので、接地抵抗を下げる事にあまり神経質になる必要はありません。その意味では適当な金属棒や金属板を接地電極に使っても大丈夫です。 　適当な長さの足場パイプを地面に打ち込んで使うと、装置本体の固定とアースの接続を兼用できるのでお勧めです。 　但し、本体側のアース(黒リード線+3φ圧着端子)と接地電極は確実に接続するようお願いします。アースが浮いていると、高圧部分以外の箇所に触れた場合でも感電することがあります。 舗装面への接地 　コンクリート舗装面での接地は、鉄板でも敷くのが理想的でしょうが、猫の忌避という目的からすれば、コンクリート釘を打ち込んでそれを接地極にする程度で行けると思います。或いは金属パイプを2本用意し、1本は地べた転がしで接地極とし、適当な方法で絶縁保持した他の1本に高圧側をつなぐのも良いかもしれません。 電柵線段数 　絶縁に問題がなければ、段数はあまり気にする必要はないと思います。少なくとも、1本で500m迄行けるなら2本の場合は250mと言うことにはなりません。 　それは電柵線の電気抵抗による電圧降下が原因で、威力が落ちる訳ではないからです。とは言っても段数が増えると、空中の水蒸気等を通した漏洩や漏電の機会も増えるし、細いパルス波の高圧にとってコンデンサ負荷が重くなる訳で不利になることは確かです。 　猿対策の場合、多段張りでも全てが高圧側でなくアースと交互に張ることが多い様です。

---------------<製作組立関連>------------------ 製作用資料 　HP公開内容が全てです。印刷物はありません。だからこそ安価にご提供できるとお考え下さい。 　組み立てに必要な事項はHP内に記載があります。「一箇所に纏まって、読み易い記述になっている。」とは言い難い面もありますが、組み立て時トラブル事例等も載せておりますのでご参照下さい。 製作後の動作検証方法 　製作後のチェックとしては、アース線を高圧コードに近付けた時の飛火距離(=空気の絶縁破壊距離)で判断しています。無負荷(=電柵線に繋いでいない)なので1〜2cm程度あります。 　設置場所でのチェックとしては、トグルSWを「連続」側にし、コイルの唸り音や電柵線にアース線を近付けた時のスパークで可能です。電柵線にアースした金属を近付け飛火すればOKとしています。 　感電防止のため、電柵線に高圧線を近付けるのではなく、高圧線を接続した電柵線にアース線を近付けた時のスパークで確認して下さい。 基板穴径 　穴径の拡大は、車両の1次側ワイヤハーネス流用を考えての事と推察しますが、開発時の考えとして流用を前提とはしませんでした。 ・中古部品として入手する際、リード線が短く切断されている事が多い。 ・送り配線等の関係で、とんでもなく太い(2sq等)電線が使われている場合がある。 ・本装置の使い方に照らし、電流容量、機械的強度から現状の穴径(+B、GND：0.75sq、IG±：0.5sq)で充分な余裕がある。 　以上のような事情から、車両のコネクタやリード線は流用できればラッキーという位置付けです。必要に応じ、リード線の継ぎ足しやスズメッキ線をフォーミングしたハンダ付け用ポストで対処して頂きたいと考えております。 　※基板のリード線穴径を2φに変更しました。これにより、車両部品の流用可能性が高まりました。また、M2ネジと圧着端子による無ハンダ接続も可能です。 製作指導 　これにつきましては、先ず開発の経緯からご説明させて頂きます。 　中古自動車部品の流用により電撃装置が手軽に再現できることが分かったので、「興味のある方、作れそうと思う方はDIYでご自由に」という考えで回路図を公開しましたところ、製作依頼が散発しユニバーサル基板では対応しきれないので、基板を起こしそれを機に部品販売も開始しました。一方、組立が面倒であったり不安を感じる方の為に完成品やキット、部品実装等の多様なメニュも用意しました。 　このような経緯から、特に「基板&電子部品」については商売として考えたら成り立たないような価格設定になっておりますし、公開された資料を見てDIYで作れそうと判断された方にお買い上げ頂くことを想定しております。電子工作の教材としての販売ではないことにご理解を頂きたく存じます。 　上記事情から、製作途上での質疑応答を前提としてのお買い上げには対応致しかねます(一切の質問を受け付けないという意味ではありません)ことのご了承をお願い申し上げます。 選択の判断基準 　先ず、「どれを選ぶべきか」ですが弊社の物は電源を12Vバッテリ(自動車用鉛電池)から取るか商用電源(AC100V)から取るかの2種類しかなく、それぞれ「フルトラタイプ」「CDIタイプ」と称しています。「フルトラ」、「CDI」はガソリンエンジンの点火システムの略称です。価格表が何行にも渡っていますが、ご自身で組み立てるつもりはなく購入後すぐにバッテリで運用したいのであればフルトラタイプの完成品を選ぶことになります。 ※「CDIタイプ」は販売中止です。 キット：部品、材料のみのご提供。組立は基板も含め全てお客様の作業です。 　基板組立には若干の電子部品の知識(有極性部品の判別等)と、ICピッチ(2.5mm)の細かさでハンダ付けをする道具と技能が必要です。電子工作の経験がないと難しいと思います。 　基板組立が面倒であれば、部品のマウントとハンダ付け及び動作確認を済ませた「実装済基板」のご利用をお勧めします。 　リード線、ケーブル類の接続(圧着、ハンダ付け等)、筐体(プラボックス)の加工(穴開け等)が必要となります。 半完成品：基板組立とリード線類、バッテリクリップの接続がお客様の作業です。 　基板は未実装です。半完成品＋実装済基板であれば\14000+\3000となり、完成品とあまり差がなくなります。 完成品：12VDC電源をつなぎアース側(12Vマイナス側と共通)を接地、高圧側(点火コイル2次側のコード)を電柵線に接続すればOKです。 基板&電子部品のみ：専用プリント基板(両面スルホール)と電子部品をセットした物です。点火コイルや筐体のみならず、リード線やネジ等の小物部品に至るまでお客様の方でご用意いただく必要があります。 　いずれも、製作用資料の類は同梱されません。HP記載内容が全てです。これをご覧になって作れそうか否かをご判断下さい。点火コイル等もHP記載内容とは違う場合があります。(メーカや品番を固定していないので安価に供給できるという面があります) 　従って、HP記載内容はあくまでも参考であり、現物に応じて取り付け方を工夫することが必要です。 　組立が面倒または不安を感じる方のために、完成品や実装済み基板等、多くのメニュを用意しております。最初の1台は完成品や実装済みとし2台目以降をDIYとする方も居ります。 高圧コード末端処理 　高圧コードは付いておりますが、末端がディスビに嵌合する形状もしくは切り放しとなっております。従いまして、お客様の方で電柵線に接続できるよう加工して頂く必要があります。高圧コードの先端(ディストリビュータに嵌合する金属部分)を適当に加工して電柵線に引っ掛けるようにして下さい。金属フック等をねじ込むのも可です。何れにしろ、雨水が線芯に入らないようシールして下さい。 　センターコード(コイル-ディスビ間)ではなく、プラグコードが使えるのであればスパークプラグ(中古で可)を取り付け、プラグギャップを電柵線に引っ掛けても構いません。中心電極が触れないことを気にする人も居ますが、1mm程度のギャップは発生電圧から見ればつながっているのと同然で問題ありません。 CDIが欲しい 　CDIタイプについては販売中止とさせて頂きました。AC100V運用の場合はACアダプタ併用でフルトラタイプをお使い下さるよう、お勧めしております。 　CDIタイプの基板は無くなりましたが、電子部品はあります。電子部品のみでしたら\1000(照度検出なし)、\1500(照度検出あり)です。また。全波整流型CDIの部品につきましても\1500で供給可能です。但し、下記条件をご了承下さい。 ・専用基板はありません。ユニバーサル基板で組むことになります。 ・ユニバーサル基板上の部品配置や結線パターン等の資料はありません。ご自身で考え決めて下さい。 ・構成内容はサイト上にある回路図中の電子部品のみで、トランスやIGコイルは含まれません。それにユニバーサル基板(フルトラ基板と同寸)とポリスイッチ(AC1次側に入れる)を加えます。

---------------<動作原理回路関連>------------------ フルトラタイプとCDIタイプ 　厳しい条件下でイグナイタとして使っている訳ではないので、フルトラ、CDIとも大差ありません。 　バイクの点火システムが全てCDIと言う訳ではありません。フルトラもありますし、極端に古いモデルではポイントを使った物もあります。 PolySWについて 　ポリSWは反復使用できるヒューズとお考え下さい。構造等についてはキーワード検索(ポリスイッチ)で、レイケムやタイコエレクトロニクスのサイトを見れば解説されていると思います。 　使用目的は過電流保護(バッテリ逆接及びFETの短絡故障対策)です。 IGcoilの接続方法について 　コイル1次側の電流断続はアース側でやっています。フルトラタイプであればPNPトランジスタやPチャネルFETの使用により12V側での断続もできるのですが、そもそも点火システムはポイントタイプ(メカ接点)から始まった訳で、アース側にスイッチを置くのが自然なことです。そうすると1次、2次の片側をコモンとする場合、12V側がコモンにならざるを得ません。 　2次側の一端がアースに落ちている方が回路的にすっきるするという気持ちは分かりますが、それを実現しようとすると1次、2次を絶縁し4端子で出さなくてはなりません。 DC作動CDI 　CDIの場合コンデンサに溜める高圧(300V程度必要)をどう作るかが問題でして、AC100Vとトランスを使えば簡単な回路で済みますが、電池からDC-DC変換でコンデンサの充電電圧を作るとなると容易ではありません。 　バッテリの消費電流を気にしてのことであれば、フルトラタイプで放電頻度を押さえて使うことをお勧め致します。 　近所で使っている人の例ではACアダプタを使い高頻度(且つ、コイルの通電時間も少し長くしている)で放電させていますが、水田で電柵線を咥えた動物が感電死したそうで、フルトラだから弱いと言うことはないと思われます。 IGコイル1次電圧 　フルトラタイプの1次電圧は12Vではなく、1次電流を急激に遮断した時の逆起電圧である300V程度になります。 IGコイル巻線比 　2次電圧が15000Vで収まるのは電極間で飛火するからであり、コイルの巻数比によるものではありません。因みに、巻数比は1:100位の筈です。

---------------<点火コイル関連>------------------ フルトラタイプにCDI用の点火コイル 　動作原理が違うためCDI用コイルではインダクタンスが足りず不都合です。 　因みに、フルトラ用コイルはCDIでも使えますが、CDI用コイルはCDIにしか使えません。 IGコイルの代用品 　商用電源につなぐトランスではレイヤショート(層間短絡)の危険があります。室内の机上実験で上手く行っても、降雨時の屋外使用で絶縁が保てないと思われます。 IGコイルの極性 　IGコイルの極性ですが、IG+側が1-2次巻線のコモンとなっているので、2次側高圧コードと1次端子間の直流抵抗を測ると、IG-側の方が1次コイルの分だけ大きくなります。とは言うものの、1次コイルは1Ωのオーダ、2次コイルは10kΩのオーダなので3桁半程度のDMMでは差が出ない筈です。 　エンジンの場合は、火花の飛ぶ方向で点火プラグのどちらの電極が減るかという事があるので極性を気にする必要があるのでしょうが、電柵の場合は逆に使っても特段の不都合はありません。 　今まで見てきた多くのコイルでは、コネクタのロック機構を上に見た時の右側端子がIG+です。 ポイントタイプのコイルを使いたい 　コンタクトポイントはカムによって機械的に開閉されるため、ポイントの閉じている時間(=IGコイルへの通電時間)が回転数により大きく変わります。アイドルでは矢鱈に通電時間が長いのに、高回転域では通電時間が短くなります。ポイントタイプが高回転に弱いのはメカニカルモーションだからと言うのもありますが、通電時間が確保できず充分な磁気エネルギを蓄えられないので火花が弱まるからです。 　コイルの立場からすると所定の電流に達すれば必要な磁気エネルギを得られた訳で、通電時間は0から立ち上がり所定電流に達するのに必要な時間(印加電圧が変わらなければ一定値)が好都合なのです。フルトラでは電子回路で通電時間を決めるので、回転数とは無関係に最適値を取ることができます。 　ポイントタイプのコイルでは高回転時に電流の立ち上がりを速くするため(さもないと充分に電流が増えないうちに点火時期が来てしまう)インダクタンスを低くしています。このコイルを低回転域で+Bラインに直結にしたのでは電流が流れ過ぎ焼けてしまいます。そこで外付け抵抗が必要になると言う次第です。(妥協の産物) 　実車では始動性向上のため、クランキング時は抵抗をパスして12Vラインに直結するようにしているので、リード線の結線が複雑になっていますが、本装置では外付け抵抗を+12Vラインとコイルの+端子の間に入れるだけでOKです。尚、コンデンサの接続は不要です。 コイル付近の異音 　コイルから出る音は問題ありません。寧ろ正常動作の証です。全く無音であれば、地絡か故障です。 開磁路で良いのか 　CDIコイルに於いて磁路が閉じていないというご指摘と思います。確かに実車両では鉄フレームに取り付け、フレームを磁路の一部として使うというやり方があります。当該コイルがそれに当たるかは不明ですが、電撃装置用CDIとしての使用では開磁路のままで特段の不都合がなかったので、組み立て易さを重視し磁性体による磁路の追加はしておりません。只、やってみる価値はあるかもしれません。