電気柵用電撃発生装置

組立に関する一般的注意点
・基板(電子回路部)の組立は回路図集ページの「回路図」を参考に して下さい。

・部品配置等については販売案内ページの写真も参考にして下さい。

・基板組立には若干の電子部品の知識(有極性部品の判別等)と、ICピッチ(2.5mm)の細かさでハンダ付けをする道具と技能が必要です。電子工作の経験がないと難しいと思います。
 ※基板組立が面倒であれば、部品のマウントとハンダ付け及び動作確認を済ませた「実装済基板」のご利用をお勧めします。

・回路図に記載の部品や定数は、同等品や機能上問題のない範囲で、変更となることがあります。
  これ迄の変更例
   フルトラタイプ
   ・FET:その時々の入手性や価格で変わる。
   ・R3とC2:47k/104または68k/683 コイル1次側の通電時間を決めている。時定数が同じ複数の組み合わせが可能。
   ・C4:最低限1000u16Vとしているが、容量や耐圧が大きい分には問題ない。
   ・C3:ケミコンに変わり積層セラミックを使う場合あり。積層セラミックは無極性。
   ・C1:フィルムコンに代わりタンタルを使う場合あり。ICに近い側を+とする。

・基板は両面スルホールなので、一旦ハンダ付けした部品を外すのは大変です。極性や向きに十分注意して下さい。

基板以外の組立手順
 ここでは主にフルトラタイプを中心に説明し、CDIタイプについては後半に一括して触れるものとします。キットをお買い求めの方は勿論の事、部品のみをお買い求めの方にも参考になるものと思います。

点火コイル調達品
・解体屋等から調達した中古部品はこのような状態--1次側リード線は途中で切断、2次側はセンターコード(コイル〜ディスビ)のみ、マウント用ホルダ付き--であることが多い。

・イグナイタが付いている場合もあるが不要。(フルトラ用コイルである事の証拠にはなる)

・フルトラタイプにはフルトラ用のコイルを調達する。今では中古と言えども殆ど無いと思うが、ポイントタイプはNG(どうしても使いたければ外付け抵抗を併用する)。

・センタコード以外の高圧コード(ディスビ〜各気筒)が有れば役立つ場合がある。(不要プラグを使いプラグギャップを電柵線に引っ掛けると接続が容易。但し、ディスビ側がコイルにきちんと嵌合する事が必要。使用中に抜けるとFETの破損につながる。)

※販売案内ページの写真では油入りタイプが使われているが、大きい上に逆さ配置不可(漏りはしないと思うが、車両での使用状態に合わせた方が無難)なので筐体(プラボックス)が大きくなる。

※最近の車では、「ダイレクト点火」と称するイグナイタとコイルがプラグキャップ内で一体となった物が使われている(各気筒毎に配置されディスビと高圧コードがない)場合が多いが、これはそのままでは使えない(基板に手を加える必要有り)ので調達時に注意する。
                       ↓↓
                  ダイレクト点火用コイルを使うには


不要品除去
・1次側リード線を取り去る。中古部品では途中で切断されて短い場合が多いし、長さが足りてもリード線が必要以上に太く基板の接続穴に入らない事が多い。(本機では実車と違い放電頻度が低く、また機械的強度も不要なので細くて良い)使える場合は勿論使っても構わない。

・マウント用ホルダも取り去る。流用できる時は使っても良いが、筐体への収納性が悪くなったりホルダ取付面が平面でない場合が多い。



コイル取付
・筐体から木製基台を外し、コイルの取付位置を現物合わせで決め、貫通穴を開けスタッドボルトを立てる。

・取付位置を無造作に決めると、配線の取り回しや基台の固定が面倒になる。

・スタッドボルトには六角ボルトの他、皿ネジ、鍋ネジが使えるが、頭部が裏面と面位置またはより深くする。(写真右上参照)

・コイル鉄芯を2個のナットで挟んで固定する。1本のボルトにつき3個のナットを必要とする。

・コイルと木製基台は若干の隙間を空ける。(温度変化による膨張収縮の影響を避ける)

※筐体がOP12-1525からOP12-1525Aに代わり(OP12-1525は製造中止)、木製基台裏側の座刳りや皿もみは不要となりました。これは板厚が15mmから9mmへ薄くなる一方、外周部4mm幅を残しそれ以外は深さ6mmの空洞が出来た事に依ります。外周部以外であれば、丸穴開け放しで済みます。誤って座刳りや皿もみをすると、板が薄いので不具合を生じます。


基板取付
・基板取付位置を決め、下穴を開け仮付けする。

・キットでは2.6φのタッピングネジと3mmのスペーサを使っているが、3φネジの対角線2点締めでも良い。(基板の穴径は3.2φ)

・邪魔なので一時的に高圧コードを外しているが、動作試験をする時は必ずコードを確実に接続する。さもないと、発生した高圧の逃げ場が無く部品の破損(多くの場合、FETが壊れる)につながる。



ファストン端子
・1次側リード線を作る。油入りタイプ以外は大抵ファストン端子(サイズは、110、187、250等)で間に合う。

・油入りタイプでは丸型裸圧着端子(調達が容易)で済む。

・ファストン端子は絶縁被覆付きとすれば、ハウジングなしでOK。実車と違い振動等で抜ける心配はない。



1次リード取付
・1次側リード線をコイルのタブに嵌合する。筐体に収納してからでは接続できない。

・赤リードをコイル+側、白リードをコイル−側としている。コイルに極性表示をしている場合もあるが、車両用のリード線が付いていた場合は線色で判断できる場合(黒地にストライプ:+、青等の単色:−が多いが、メーカによっても異なり絶対ではない)もある。

・最悪、1次側極性を間違えても電極間に常に飛火させて使うエンジンとは異なり特段の不都合はない。

電源コード
・電源コード(0.75sq2芯ケーブル)の被覆を適当な長さに剥き、アース線及び基板GNDに行くリード線の3本を共加締めで丸型裸圧着端子に接続する。圧着端子のサイズは2sq、穴径はスタッドボルトに合わせる。(※鉄芯をアースに落とさない場合は、丸型裸圧着端子ではなく終端接続用のリングスリーブ等で共加締めすると良い)


電源コード
・筐体に通線穴を開ける。

・高圧コード側はノック穴を抜きバリを取っておく。

・ケーブル及びアース線側はノック穴を抜かず、ドリルで穴開けする。写真では異形穴となっているが、丸穴でも良い。但し、必要以上に大きく開けない事。



収納状態
・コイル及び基板をマウントした木製基台を筐体に取り付けたところ。

・アースの圧着端子をスタッドボルトに共締めする。フルトラコイルの場合、コイル鉄芯には電気的な接続はないのでアースに落とさなくても作動するが、車両での使用状態に合わせる。(※日産系の車両等、コイルをラバーマウントし鉄芯をアースから浮かしている物もある。この場合は鉄芯をアースに落とさずに使う。2次側コードと鉄芯間で飛火する場合も、鉄芯をアースに落とさずに使う。)

・コイルの取付位置が不適当だと、基台固定ネジを回せなくなりコイルを外す羽目になる。

・ケーブル引き出し部を結束バンドでクランプし、抜け止め(無いと圧着端子やハンダ付け部にストレスが掛かる)とする。

・この後、基板への部品実装とリード線のハンダ付け(4箇所)を済まし、バッテリクリップを取り付けると完成。



位置決め仮付け
・CDI用点火コイル、トランス、基板を位置決め、仮付けしたところ。
  ※コイルとトランスの間隔をもう少し取った方が良い。(狭いと配線の取り回しが面倒になる)トランスを上にずらしても良い。

・コイル固定用のスタッドボルトはM6×50の皿ネジを使っている。

・基板設計時の不手際なのだが、右上隅の取付穴の近くをトランス1次側のパターンが通っており取付ネジと安全距離を確保できない危険性がある。この例では樹脂ワッシャ(黒く見えている物)を入れているが、長めのネジを使い左上と右下の2点締めとしても良い。

・基板取付スペーサに対し、部品リード線の飛び出し量(=切り落とし時の残り長さ)が必要以上に長いと、木製基台に接触する可能性がある。特にトランス1次側の部品では降雨時等の絶縁低下、漏電につながるので注意を要する。
  ※キットでは3φ×3のスペーサを使っている。


トランス基板間結線
・基板トランス間の配線を済ませたところ。手前のファストン250端子はコイル1次側につながる。

・配線作業は筐体から基台を取り出し、コイルを外した状態で行なう。


ACコード&アース線結線
・最後にACコードを取り付けるが、プラグとケーブルが一体型の物では作業前に筐体通線穴に通しておく。

・キットや完成品では無関係だが、ACコードを別途手配する場合は0.75sq2芯ケーブルとする。必要以上に太い物(消費電力は10W程度であり0.75sqで問題ない)を使うと芯線が基板穴に入らない。外で使う物なので耐候性を考慮し外被は黒とする。


収納状態
・コネクタ、アースラグ(丸型圧着端子)を接続し完成したところ。(照度検出なしなので基板上の電子部品は少ない)

・結束バンドによる抜け止め措置は、フルTRタイプと同様である。

・このコイル(ヤマハの中古部品)では鉄芯がコモン端子になっているので、必ずアースに落とす必要がある。


高圧コード端末の処理
 フルTR用コイルに付属の高圧コードはセンターコードが普通なので、端末はディストリビュータのセンターキャップに嵌合する形状となっています。その金属部分を適当に加工し、電柵線に引っ掛けて下さい。或いは、コードを適当な箇所で切断し真鍮製のフックをねじ込んでも構いません。これは電柵線への着脱性は良いのですが、切断面から水が入らないような処置が必要となります。プラグキャップ付きのコードがあり、且つ点火コイルと確実に接続できるのであれば、不要となった点火プラグを取り付けその電極間ギャップを電柵線に引っ掛けても構いません。
 CDI用コイルは高圧コードと一体になっています。プラグキャップ付きで入手した場合は上記手法(不要点火プラグ併用)が使えます。キャップがない場合は真鍮やステンレス製のフック(洋灯吊り金具)をねじ込み、電柵線に引っ掛けると良いでしょう。但し、ねじ込み箇所から雨水が入らないように(毛管現象で中まで入ります)して下さい。また、柵線から簡単に外れないよう配慮して下さい。

本装置の据え付け
 これ以外は不可と言う訳ではありませんが、私は以下のやり方を勧めています。

・装置の物理的な保持と確実な接地を兼ねて、足場パイプ(48.6φの鋼管)を地面に打ち込み、当該パイプに本体の固定とアース線の接続を担わせる。
 ※接地が不確実だと効果的な電撃が得られなかったり、高圧部以外への接触でも(人間が)感電したりする場合がある。

・固定用の穴2箇所(M4ねじ切りorタッピングねじ)とアース線接続用ねじ穴(共締め可)の加工が必要となるが、打ち込み前に済ましておく。

・バッテリ(自動車用鉛電池でOK)を適当な場所に置くが、降雨時の跳ね返りがあるので地べたを避ける。直接雨が当たらない方がよいが、バケツ等を被せると内部が高湿度になるので却って良くない。

その他留意点
 ガソリンエンジンの点火システムでは、適当な間隙の電極間で常に火花放電させています。このような点火装置を電気柵に流用する場合、本来の使われ型とは違って2次側(高圧側)は開放状態に近く、コイルやそれを駆動する半導体には厳しい条件となります。
 これを踏まえ本機ではかなり控えめな使い方(車両のCDIではコンデンサの充電電圧が400V近くまで上がるが、本機では300V未満に抑えている等)としておりますが、完全な無負荷状態で作動、放置されるとコイルやトランジスタの破損につながる危険は残っております。そこで、下記の点に注意をするようお願いします。

・電柵線につながない状態で作動させ、長時間放置(5分程度は問題ありません)しないで下さい。

・電柵線との接続が簡単に外れないようにして下さい。

・特にフルTRタイプの場合、コイルから高圧コードを抜くとトランジスタがすぐに壊れます。(バリスタが有効に機能していない可能性があるので、バリスタ電圧の検討を予定)抜いたままの作動禁止は勿論のこと、使用過程で抜けないよう確実な接続をお願いします。

 CDIタイプのキットや完成品ではACコード長を2m程度としております。多くの場合、より長さが必要とは思いますが、適正長さを決め難い事、銅の価格高騰の中で現在の価格を維持しつつ充分な長さのコードを付けるのが困難である事に依るものです。
 適当な方法で中継延長する事と思いますが、その際は防雨対策に配慮下さい。

実装済基板接写
フルTr基板実装状態
 「基板&電子部品」を購入頂いたお客様のご要望により掲載致しますので、参考にして下さい。但し、使用部品が随時変わることをお含み下さい。



組立時のトラブル事例
 「組み立ててみたが、上手く動かなかった。」と言う連絡を頂き、幾つかの作品を拝見しました。これから作ろうとしている方にとって役立つと思うので紹介致します。

・FET逆接(前後反対)
 ポリSWが正しく付いていれば電流制限が掛かるので壊れないと思われる。

・ツェナダイオード(ZD)逆接
 ICの動作電源が0.7V位になり不動作。通常、付け直しで回復する。

・有極性コンデンサ(特にC1)の逆接
 C1にタンタルコンデンサを使っている場合、上手く発振しない或いは最初は発振するものの短時間で不具合になることが多い。本ページ「これ迄の変更例」でも触れたが、当初フィルムコンデンサで設計した経緯があり基板上に極性表示がないので特に要注意である。(現行基板では対策済み)
 アルミ電解コンデンサの逆接はすぐに不具合が出ないので気付かない事があるが、破裂や液漏れにつながるので要注意である。

・ハンダ付け時、ペーストを使用
 ICリード間の絶縁が低下し不動作。電子工作には良質のヤニ入りハンダを使う。

・リード線取付穴をドリル揉み
 両面スルホール基板なのでパターン切れを起こす。現状の穴でも0.5sqまたはAWG20が容易に入り、電線径としては問題ない。1次側コネクタに車両の中古部品を使う場合は要注意。

ダイレクト点火用コイルの流用について
 標記コイルを排除すると、IGコイルの調達が難しい状況になってきたので、調査研究をすべく解体屋に出向き、3種類ほど入手(2013,11,18)した。僅か3種類ではあるが、幾つかの事が分かった。

・三線と二線の物が有る。
 当初、ダイレクト点火用コイルではイグナイタ部も内蔵されており、全て三線と思っていた。処が入手品の中には二線の物も有り、当該品では1次コイルがそのまま外部端子に出ていた。つまり1次コイルを駆動するトランジスタ(FET)は、エンジン制御用コントロールユニットに内蔵されている訳だ。このタイプの場合は、高圧コードの引き出し等に若干の工夫を必要とするものの、そのまま電撃装置に流用できる。
 三線の場合、その内訳は+12V、GND、信号線となる。入手品に限っての話だが、信号線がオープンまたはGNDレベルの時はコイル1次電流が遮断で、Hレベルの時にコイル1次電流が流れる様だ。つまり信号線は1次電流通電タイミングを伝達している。

・点火プラグ嵌合部の分離可能な物が有る。
 コイルの鉄芯部が外部露出している物は、分離可能となっている様だ。分離不能品では、多くの場合イグナイタ部のみが外部に露出し、コイルは鞘部分に収納されている。スペース利用率が良いので、高年式車の部品は分離不能品が多い様に見受けられる。
 電撃装置に流用する場合、分離可能品の方が組み込み自由度が高い。

・点火プラグの保持は出来ない。
 従来品のプラグコードと違い、コイルのプラグ嵌合部自体はプラグを保持する構造となっていない。装置内部にスプリングが内蔵されており、装置をシリンダヘッドに固定する事に依り、機械的及び電気的接触を保つ。従って2次電圧(=高圧)の取り出しには、電線の選択も含め工夫を要する。

ダイレクト点火コイル外観
 写真上側、左より

・ダイハツ車より外した物、ダイヤモンド電機製 二線

・三菱車より外した物、メーカ不明 三線

・ホンダ車より外した物、東洋電装製 三線

 写真下側、点火プラグ嵌合部を外した状態、東洋電装製は一体物で分離できない。



 上記、ダイヤモンド電機製、二線タイプのコイルを使った電撃装置を組んだので紹介する。

全体像
・従来型IGコイルより小型であり、組み込み易い。


高圧線引き出し
・15kVネオンコードを使い、高圧を引き出している。

・外皮(2重絶縁構造の外側ビニルシース)を剥き、コイル内部へ底付きするまで挿入する。

・L金具を使いマウントする。


高圧線抜け留め
・高圧線の確実な接触を保つ為、抜け留め策を講じる。本例では7.5φ穴に通した後、クランプタイで締め付けた。

・使用中に抜けるとFETの破損に繋がる。クランプタイは耐候性の物を使う。引き出し部分がノック穴に掛る場合は、補強(低圧コード引き出し部参照)するのが望ましい。当然の事ながら、ノック穴を抜いてはならない。


ネオンコードの切り売り可能です。



三線タイプコイルの流用可能性

・基本的には、IGコイル駆動用パワートランジスタ(FET)を内蔵しているので、当該半導体素子に適当な信号を送り込めば良い。

・依って既開発の電撃装置基板からFETを除き、ICの出力信号を送り込む事で機能する可能性が有る。今回入手した東洋電装製の物では0-5Vの電圧信号で動く。只、残念な事に10mA程度の待機電流が有る。三菱車より外した物では、駆動系がバイポーラの所為か電圧信号では駄目で、若干の電流増幅が必要な様だ。但し、待機電流が無いので電柵用電撃装置には向いている。

 東洋電装製イグナイタの適用例を以下に示す。 三線タイプ使用例
・待機電流が有るので、AC運用としている。此処ではトランス+Siダイオードとしたが、ACアダプタ(12V)でも良い。

・鞘部分の先端は切断されている。

・高圧の取り出しは、ステンレスボルトの物理的接触としている。

・電子部品の変更は以下の通り。

 R6:不使用
 R7:220→2.2k
 ZD:12V1/2W→5.1V1/2W
 FET:不使用
 ZNR:不使用

 R5先端(FETゲート端子)をイグナイタ信号線と接続


 後日、イグナイタ利用の着火装置を試作する必要が生じ、上記3種類とは異なるダイレクト点火コイルを3種類ほど調達(2016,5月)した。
 何れも、先に調達した「三菱車より外した物」と同様、電圧信号(4093の出力)を送り込んだだけでは放電は起きなかったが、簡単な電流増幅(汎用トランジスタ1個に依るエミッタフォロワ、以下EF)で放電する事が分かった。
 市場に出回っている全てのダイレクト点火コイルを調べた訳ではないので断定はできないが、信号線に送り込む電圧信号に関し下記に示す着目点で分類される回路で殆どの物が動くであろうと言う感触を得た。

・信号レベルが0-5Vか、0-12Vか。
・C-MOS(4093)の出力で間に合う(=EF不要)か、電流増幅を要する(=EF必要)のか。

 上記着目点に依れば4通りの組み合わせが有るが、これまで見てきた三線タイプコイルは、以下の様に分類できる。

1.0-5V且つEF不要:ホンダ向け東洋電装製コイル
2.0-12V且つEF不要:該当無し
3.0-5V且つEF必要:2013,11月入手の「三菱車より外した物」(三菱自動車部番 MD346383と推定される)
4.0-12V且つEF必要:2016,5月入手品(ダイヤモンド電機19070-97201、同19070-97205、三菱電機33400-7661)

※0-5V品に0-12V信号を入れても動作はする。上記1については、ホンダのサービスマニュアルで0-5Vが確認されている事、上記3については、5V動作時の方が放電が安定している事から判断した。
 [注意]0-12V信号では充分な強度の放電が得られない0-5V品が有る(ダイヤモンド電機19500-B2050、NGK U5158等)事が確認された。(2024/7月)

※0-12V品に0-5V信号を入れても動作しない。

 以上を踏まえた回路図(抜粋)を示す。
ダイレクト点火コイル接続図
部品実装要領

・EF不要時
 FETのG穴-D穴間をジャンパで短絡

・EF必要時
 基板シルク印刷R5左穴にQのベース、右穴にエミッタを挿しハンダ付け。
 Qのコレクタは、ジャンパ線を介し、R7左側またはZDカソードとハンダ付け。
 現物のR5は、基板シルク印刷R6右穴及びFETのD穴間に挿しハンダ付け。


待機電流について

 待機電流が有ると、日中の動作停止時等にも消費電流が流れるので、電池動作には不適当である。
 信号線オープンの状態で、12V電源を供給した時の消費電流が待機電流なので、必要に応じ測定選別する。



共振を利用したハーフブリッジタイプ強力電撃装置

組立に関する一般的注意点
・基板(電子回路部)の組立は回路図集ページの「回路図」を参考に して下さい。

・フルトラタイプの電撃装置と違い、常時高電圧(とは言っても50V〜150V程度ですが)が印加される箇所(DCバスライン:ハーフブリッジ上側FETのドレインに繋がる部位)が有ります。感電や短絡事故に注意して下さい。

・これ迄の電撃装置と共通な事柄については、重複して述べる事は致しませんので、必要に応じて前項を参照して下さい。

・1/6Wカーボン抵抗以外にも外見の似た部品(PS1とPS2,D3とZD)が有るので、誤実装に注意して下さい。

AC100V整流電源を使う場合
 ここで言う「AC100V整流電源」は、商用交流を直接整流して得られる直流をDCバスライン電圧とする手法の意味です。この場合、基板のGNDパターンも商用ACとは絶縁されないので、1-2次間の一端が接続された通常のIGコイルを使うと商用ACラインに地絡が生じ、漏電遮断器が作動します。従って、1-2次間が絶縁されたIGコイルを使う必要が有ります。
 AC100Vを使っていても、複巻きのトランスやスイッチング電源からDCバスライン電圧を得ている場合は、商用ACとは絶縁されるのでIGコイルの1-2次間絶縁は不要です。(勿論、絶縁タイプを使っても構わない)
※1-2次間が絶縁されたIGコイルとは
 高圧コードが2本出ているタイプ。360゚クランクの2気筒エンジン等で使われる。二輪車等のディストリビュータを持たない車両で多用される。
 尚、本電撃装置ではIGコイルをトランスとして使っており、1次コイルが外部端子に出ている事が必須なのでダイレクトコイルは使えない。

基板結線AC ・基板左側に3Pネジ端子(上からL,N,+12V)の実装スペースが有るが、+12V端子不使用なので2Pネジ端子を実装し、L,N端子にAC100Vを繋いでいる。

・基板右側の2Pネジ端子(上からOUT,COM)にIGコイル1次側を接続。

・IGコイルは二輪車用のフルトラコイルで、勿論、1-2次間は絶縁されている。

・IGコイル右側の高圧コード(接地側)と繋がっているユニバーサル基板には、逆並列にした2個のLEDが載っている。従前の電撃装置で同じ手法の動作表示をしても、明るい場所では殆ど役立たなかったが、本機では放電電流が大きく充分に目視可能である。

・種々の実験ができる様に大きな筺体と端子台を使っているが、実用機として纏める場合は必要最小限の筺体(OP12-1525A辺り)で良く、端子台も不要。



基板AC ・多様な外形のFETを実装できる様なパターンとした。ドレインの接続部をスルホールだけでなく大き目の角パッドも設け、「3本足自立」、「面実装」双方に対応可能とした。この写真では2SK4021のドレインピンを切断し、放熱タブを角パッドにハンダ付けした面実装となっている。但し、TO-263の様な最初から面実装を前提としたパッケージ以外では、実装前のリードフォーミングが必要となる。

・+12Vを外部から供給しない(ICの動作電源は、R8とIR2155の内蔵ツェナダイオードが作っている)ので、+12V端子穴やポリSW2(PS2)は不実装となっている。

・今般の電撃装置では、2P-DIPSWに依る「夜間稼働」(SW2のみON)、「全日稼働」(SW1,2ともOFF)、「昼間稼働」(SW1のみON)の切換を可能とした。「SW1,2ともON」は禁止だが、為されても実害は無い。センターOFF位置付きトグルSWを使うと綺麗に纏まるが、高価な微小電流接点仕様品が必要となるし、一度設定したら切り替える事は殆ど無いと思われるので採用を見合わせた。



DC12V電源を使う場合
 DCバスラインには少なくとも50V程度は与えたいので、DC12V電源の他に昇圧型DC-DCコンバータが必須となります。強力電撃装置の試作ではDC24Vをバスラインに与えた訳ですが、この時の回路はフルブリッジであり今般のハーフブリッジ回路ではDC48Vに相当します。
 1-2次間が絶縁されたIGコイルを使う必要は有りません。1-2次間の一端が接続された通常のIGコイルが使用可能です。但し、この場合は1-2次共通端子(IG+)を接地側(=2Pネジ端子のCOM)にして下さい。
 AC100Vの場合と同様にダイレクトコイルは使えません。

基板結線DC ・基板左側3Pネジ端子のL,Nに昇圧したDCを、+12V端子に昇圧前のDC12Vを繋いでいる。

・DC-DCコンバータは市販品で、古くからの定番IC(TL494)を使った非絶縁の昇圧コンバータ。出力電圧は可変だが、コンバータ基板に実装のケミコンが耐圧63Vなので60Vに止めた。

・絶縁タイプのDC-DCコンバータを用いる場合は、出力電圧を入力の+12Vに積み上げてDCバスに供給しても良い。(下図参照)
DC-DCcon接続図


基板DC ・最初からDCを供給するのでブリッジダイオード(D1)は不要となる。当然、D1の実装はせず写真の様にジャンパ線を接続する。これに依りL端子、N端子はそれぞれポリSW経由DCバスライン、COM(GND)に直結となる。

・IC動作用電源としての+12Vを基板外から供給するので、R8は実装しない。IC2(IR2155)の内蔵ツェナダイオードは1-4ピン間に接続されておりツェナ電圧は15.6V(14.4Vmin)なので、それを下回る電圧を外部から印加しても問題無い。



共振動作について
 これについては、「強力電撃装置の開発」に触れる必要が有る。結果的にはフルブリッジ回路となったが、最初は上下アームが一組で済むハーフブリッジで考えていた。(下左図参照 Zは或るインピーダンスを持つ負荷で、ここではIGコイル1次側)
HalfBridge
 ブリッジの内、一方はスイッチ素子で、他方は2個のケミコンからなる回路でインバータでも使われる。連続的に動作する場合はケミコンの接続点がほぼBUS-COM間の中間電圧に落ち着き問題無いのだが、「0.1秒動作、0.9秒休止」の様なON時間が短い間欠動作では中点電圧が大きく変動して不都合であった。
 その点、フルブリッジ回路では間欠発振でもベースライン(ACの0Vライン)が全く乱れないので、FETの個数が2倍になるのには目を瞑りフルブリッジ回路を採用した。
 フルブリッジ回路ではDCバスライン電圧が丸々生成ACの0-ピーク電圧となる点も長所で、僅か24Vからピーク電圧2400V(IGコイルの巻線比が1:100として)の2次電圧が得られる。ハーフブリッジ回路だとDCバスライン電圧は生成ACのピーク-ピーク電圧、つまりフルブリッジの半分にしかならない。
 ハーフブリッジ回路に於いて負荷にDCを与えない為のコンデンサの配置としては、上左図の様な2個直列の他に、上右図の様な負荷と直列に配置(正にDCカットコンデンサ)するやり方が有る。これだと負荷の一端がCOM(GND)ラインに繋がり、1-2次間が絶縁されていない一般的なIGコイルを使う際に都合が良い。フルブリッジやハーフブリッジでも左図の場合は、COM(GND)ラインから浮いた箇所が接地される事になり、些かの不安と不自然さが残る。
 この様な事情から、上右図の構成としたハーフブリッジで何とか纏めたいと考えた。これだとIR2155の様な発振回路内蔵のハーフブリッジドライバが使えるので簡単な回路で済む。発振を止める時は発振用コンデンサを短絡(=3ピンをGNDに落とす)すれば良い。尚、IR2155は既に製造中止だが、後継品が出ておりDIP品に拘らなければ入手に問題は無いと思われる。
 IR2155は蛍光灯用インバータの製作で使用実績が有る。この場合のZ(負荷)は、直列接続されたチョークコイル、共振用コンデンサとフィラメント2個で、DCカットコンデンサの容量は共振コンデンサのそれより2桁くらい大きい。即ち、Zよりは遥かに低インピーダンスで、共振には寄与せずDCを阻止するだけの役割を担っている。
 FLインバータの回路を思い返している内に、DCカットコンデンサの容量を減らしてIGコイル1次側のインダクタンスと共振させれば面白い物ができるのではと言う考えが浮かんだ。ハーフブリッジゆえ、そのままでは高い2次電圧を作り難い訳だが、共振の利用に依り容易に高圧が得られると考えた。
 「強力電撃装置の開発」で、フルトラコイルに与える交流の周波数としては2kHz位が良いと分っている。先ずはコイル1次側のインダクタンスを知る必要が有る。LCRメータに依る測定で、本稿写真に掲載のIGコイル(二輪車用のフルトラコイル、1-2次間絶縁、説明の都合上コイル1と呼ぶ)で5.05mH(同形式のコイルが他に3個有ったので測定したところ4.41〜4.81mHに分布)であった。「強力電撃装置の開発」(D.I.Y.実践例ページ)の写真に写っているIGコイル(1-2次間の一端がIG+側で接続された四輪車用のフルトラコイル、説明の都合上コイル2と呼ぶ)では4.85mHであった。手元に有る他のフルトラコイルも測定してみたが、1mH未満から10mH超までと結構ばらつきが大きかった。序にCDIコイルも測定してみたが、10uH(マイクロヘンリ)のオーダで桁違いに低インダクタンスだった。
 インダクタンスを5mHとして、2kHzで共振を起こすコンデンサの容量を計算すると1.26uFとなる。部品の入手性等を考えコンデンサを1uFとして、IR2155の発振周波数を2kHz近辺で可変にしておけば、個々のコイルのばらつきを吸収して共振が得られるであろうと考え回路定数を決めた。即ち、IR2155周りのCR(C5/R8/VR2)は0.22uF(223)と10kΩ+10kΩVRとした。VRの調整に依り1.61〜3.20kHzが得られる。
 2次側に現れるAC電圧がどの程度になるかを知るために、巻線比を測定した。ファンクションジェネレータから1次コイルに1V(0-peak),2kHzの正弦波を与え、2次側に現れる波形をオシロスコープ観測して0-peak電圧を読み取る方法をとった。結果はコイル1が1:70、コイル2が1:90程であった。これ以外の手持ちIGコイルについても測定してみたが、フルトラで70〜100前後、1個だけ在庫のCDIコイルでは160程だったが、インダクタンスが低い(25uH)所為か2kHzでは全く昇圧できず上記値(160)は20kHzで得られた数値である。
 この点からも、今回の目的にCDIコイルは不向きである事が分かる。電柵に印加する高圧の周波数が高いと、絶縁抵抗が高くても対地静電容量に起因する減衰が無視できなくなる。
 IGコイル1次側のインダクタンスについて何度か触れているが、これらは2次側開放時のものだ。2次側に何らかの負荷が繋がっていたり、極端な場合として短絡している場合は、インダクタンスが変わってくる、即ち共振状態から外れる。その場でも高い2次電圧が必要な場合はDCバスラインの電圧をある程度高めに選ぶ必要が有る。



超高輝度LED照明キット

組立に関する一般的注意点
・AC100Vを直接整流して使う回路です。安全には充分な配慮をして下さい。

・同梱のポリSWによる過電流保護を必ずして下さい。多数のLED基板を駆動する為、当該ポリSWが使えない場合であっても適当なヒューズ等で過電流保護をして下さい。過電流保護が無いと、ブリッジダイオード等が短絡故障した場合に危険(最悪、火災となる)です。

・回路図に記載の部品や定数は、同等品や機能上問題のない範囲で、変更となることがあります。

回路図 回路の補足説明

・C3、C4に抱かせている抵抗は220k1/6W。経年劣化等に依る容量アンバランスでケミコンの耐圧超過が生じるのを防ぐ。基板に挿入穴は無い(=部品番号、シルク印刷も無し)ので、ハンダ面でケミコンの足にハンダ付けする。

・LED基板では四隅にはマウントせず40個のLEDを直列にしている。空きスペースを利用して電流制限抵抗(75Ω1/4Wを2個直列または300Ω1/4Wを2個並列)を取り付ける。C入力全波整流回路を使えば44個のLEDを点灯できるが、力率が低いので使っていない。

・C1、Lに依るノーマルモードノイズフィルタは調光キットにのみ設ける。単純点滅キットではLを短絡、C1を開放とする。

・キットに同梱のポリSWは120mA定格なので、LED基板2枚迄しか駆動できない。電源基板の正常動作を確認後ヒューズに置き換えると良い。リード線引き出し穴(日圧VHコネクタ取付可)が設けてある。

・タッチ電極として何を使うかは自由だが、少数製造ではバナナプラグと嵌合するジャック(サトーパーツ:TJ-563)が使い易い。3φの高輝度LEDを中空部に収納しツェナへのブリーダ電流で点灯--SWコネクタ部のジャンパと置き換え--すると暗い場所でもタッチ部が分かり都合が良い。LED点灯電流は新たに発生する訳ではないので無駄ではない。

・CdSを使う場合は、点灯時の光を拾わない様に配置する。点灯時照度と消灯時照度に差を付けてはあるが、点灯光をまともに拾うと点滅動作を繰り返す。ON/OFF動作レベルはマイコンのデータROMに書き込んであるので、使い方や好みに合わせ変更する余地がある。(PICライタが必要)

・CdSと焦電センサを使ったキットではヒト検出時の明暗のみが重要で、一旦点灯したらオフディレー動作をするだけである。従って点灯時の光をまともに拾っても問題ない。

組立手順
 基板の組み立てに慣れている人であれば、手当たり次第に組んでも特に問題は起きないと思われる程度の回路であるが、1枚の基板にLEDを多数マウントするので、向きを間違えるとスルホール基板と言う事もあり修正が大変である。此処では間違いの少ないと思われる手順を紹介する。
 先ず電源基板を先に組み、正常動作が確認できたら、得られるDC出力電圧を利用して仮組みしたLED基板の点灯状態を見る事に依り、誤挿入の有無を検査する。

@電源基板の組立
・ジャンパ(短絡用リード線)をハンダ付けする。部品の余分な足を利用すると良い。但し、鉄線を使っている物もあるので注意する。
※ジャンパとする箇所(以下に述べていなくても、上記回路図中で"short"の記載がある箇所は当然短絡する)
 ・L(調光及びリモコンキットではLの実装有り)
 ・壁SW点滅時のCN3
 ・SW1-2間(調光回路等でSWを設ける場合を除く)
 ・R8(調光及びタッチSWではR8の実装有り)

・小型で背の低い物(抵抗、D1以外のダイオード、ICソケット等)からハンダ付けする。

・ハンダ面に付ける220k1/6WはLED基板のチェックに使うので、2個とも付けないでおく。

・ICを使う場合(調光キット等)はパスコンをハンダ面に付けるのを忘れないようにする。

・AC100Vを供給し、出力電圧(=C2両端電圧)が100V強、2個のケミコンC3、C4のそれぞれに掛かる電圧が70V程度で、大きく偏っていない事を確認する。

ALED基板の組立
・基板を固定し、40個のLEDを仮挿しする。向きは全て揃える。カソードマーク(上から見て、面取りしてある角に近いピンから反時計回りに1,2,3,4と名付けた時、1,4がカソード、2,3がアノード)やリードフレーム形状で判断できる。

・完成済みの電源基板から220k1/6Wを介してLEDに電源(アノード側:+、カソード側:-)を繋ぐ。基板四隅にはLEDがマウントされていないので、一度に全LEDの点灯確認は出来ない。4個、32個、4個に分けて確認する。必ず220k経由で繋ぐ事。電源直結にすると4個のLEDは瞬時に壊れる。

・220kに依り電流制限を受けるので、4個だけで点灯しても何ら問題は無い。また直視しても眩しくないので検査には好都合である。

・全てのLEDが点いたら向きは正しい。不灯の物が有ったら向きを確認する。日亜雷神では静電破壊防止用の内部ダイオードの所為で、逆向きでも電流を通すので当該ダイオード以外は点灯する。90度回転の誤挿入ではリードフレームを通し電流を通すので、やはり当該ダイオード以外は点灯する。

・誤挿入の無い事が確認できたら、LEDトップに適当な平板(少なくとも基板と同じ大きさ。厚紙でも可。要は逆さにした時LEDが抜け落ちなければ良い)を当てながら基板ごと引っ繰り返し、ハンダ面が見える様に水平な場所に置く。

・一度に全ての足にハンダ付けせず、1個のLEDにつき1箇所だけハンダ付けする。40個全て仮付けできたら基板を元に戻し、倒れが無いか確認する。この段階では1箇所しかハンダが付いていないので、修正は簡単である。問題が無ければ、残り全てをハンダ付けする。

・空きスペースに抵抗をハンダ付けする。その後40個を一度に点灯確認(220kはそのまま)をする。

・以上で、問題が無ければ220kを電源基板に取り付ける。正規の状態でフル点灯させて電流制限抵抗の両端電圧を測り、電流が妥当な範囲(40mA程度)にある事を確認する。この時はLEDを直視しない事。

実装済基板接写
LED基板及び電源基板実装状態 <上側>LED基板
・この写真では右がカソード側。

・抵抗は基板裏側(右上隅と左下隅)にハンダ付け。


<下側>電源基板

・この写真ではLED出力端子にネジ止め端子台ではなく、XH3P(2番ピン除去)コネクタを使っている。

・VR及びSWへの接続も、XHコネクタを使いリード線直付けは避けた。

・入力端子に接続されているのは、0.75sqAC平行コード。AWG24程度の撚り線から1.6φの単線まで接続できる。

・基板には若干のフリースペースがあるので、部品追加(ex.外付けCRによるクロックで低消費電力を狙う、空きポートの活用)が可能である。


50WパワーLED駆動回路

組立に関する一般的注意点
・AC100Vを直接整流して使う回路です。安全には充分な配慮をして下さい。

・同梱のポリSWによる過電流保護を必ずして下さい。パワーLED変更等の理由に依り、当該ポリSWが使えない場合であっても適当なヒューズ等で過電流保護をして下さい。過電流保護が無いと、ブリッジダイオード等が短絡故障した場合に危険(最悪、火災となる)です。

・回路図に記載の部品や定数は、同等品や機能上問題のない範囲で、変更となることがあります。

組立手順
・チップ部品未実装基板の場合は、当該部品のハンダ付けを最初にする。

・必要に応じてジャンパ(短絡用リード線)をハンダ付けする。部品の余分な足を利用すると良い。但し、鉄線を使っている物もあるので注意する。
※ジャンパとする箇所
 ・L1(ノーマルモードフィルタを入れる場合はLを実装する)
 ・電源SWをAC側に設ける(ex.壁SWに依る点滅)場合の、CN3に於ける1-2間
 ・パイロットランプ用LED不要時の、CN3に於ける3-4間
 ・調光不要時の、CN4に於ける2-3間

・R2、R8は基板から浮かして実装する必要がある。従ってD3、R4等の浮かす必要のない部品を先にハンダ付けしておく。

・D2、3、4は一般用整流ダイオード、D6はファストリカバリダイオードである。外見が似ているので混用しないよう注意する。

・部品としては入っていないが、必要に応じて下記部品を追加実装できる。
※追加実装可能部品
 ・L1及びC4(ノーマルモードフィルタ、この場合はR5右穴とR1左穴をジャンパで接続する)
 ・C5及びC6(所謂Yコン)
 ・ZNR(ACライン間に入れるバリスタ)



ACスイッチキット

組立に関する一般的注意点
・AC100Vを直接扱う回路です。安全には充分な配慮をして下さい。

・回路図に記載の部品や定数は、同等品や機能上問題のない範囲で、変更となることがあります。


回路図 回路の補足説明

・SCRを使って、リセット時(電源投入、停電復帰時)OFFとする事もできる(マイコンソフトにより)が、マイコンが動き出す迄の1,2秒間SCRが導通する。これを防ぐにはハードの追加が必要なので、「SCRはリセット時ON、FETはリセット時OFF」と割り切り、ソフトウェアを1種類で済ませる事にした。

・電源基板をACスイッチとして使う場合、ブリッジダイオードやFET、SCRが短絡故障を起こしても負荷に電流が供給されるだけなので、ヒューズやポリSWに依る過電流保護は不要な事が多い。負荷内部で異常が起きた際にACスイッチが巻き添えで壊れる心配がある場合は使うと良い。

・タッチ電極として何を使うかは自由だが、少数製造ではバナナプラグと嵌合するジャック(サトーパーツ:TJ-563)が使い易い。3φの高輝度LEDを中空部に収納しツェナへのブリーダ電流で点灯--SWコネクタ部のジャンパと置き換え--すると暗い場所でもタッチ部が分かり都合が良い。LED点灯電流は新たに発生する訳ではないので無駄ではない。

・CdSを使う場合は、点灯時の光を拾わない様に配置する。点灯時照度と消灯時照度に差を付けてはあるが、点灯光をまともに拾うと点滅動作を繰り返す。ON/OFF動作レベルはマイコンのデータROMに書き込んであるので、使い方や好みに合わせ変更する余地がある。(PICライタが必要)

・CdSと焦電センサを使ったキットではヒト検出時の明暗のみが重要で、一旦点灯したらオフディレー動作をするだけである。従って点灯時の光をまともに拾っても問題ない。

組立手順
・ジャンパ(短絡用リード線)をハンダ付けする。部品の余分な足を利用すると良い。但し、鉄線を使っている物もあるので注意する。
※ジャンパとする箇所
 ・L
 ・PS(敢えて、ヒューズやポリSWを使う場合を除く)
 ・SW1-2間
 ・R3
 ・FETを使う場合のQに於けるB-C間(SCR使用時は、Qの実装有り)
 ・R8(タッチSWではR8の実装有り)

・小型で背の低い物(抵抗、D1以外のダイオード、ICソケット等)からハンダ付けする。

・ICのパスコンをハンダ面に付けるのを忘れないようにする。

・スイッチ素子としてFETを使う場合でも、当該素子をSCR表示(シルク印刷)箇所にマウントする。FET表示部が別途有るので特に注意する。G(ゲート)部にFETのゲートが来るように実装する。

・XH、VHコネクタ使わない場合は、リード線をハンダ付けに依り基板穴から直接引き出す。

実装済基板接写
ACスイッチ基板実装状態 ・この写真はタッチスイッチの実施例で、左側はSCRを実装、右側はFETを実装している。

・XH3Pコネクタ(センサ系)、VH2Pコネクタ(負荷系)はオプションでありキットの構成部品ではない。

・入力ネジ端子はキットの構成部品で、AWG24程度の撚り線から1.6φの単線まで接続できる。

・基板には若干のフリースペースがあるので、部品追加(ex.外付けCRによるクロックで低消費電力を狙う、空きポートの活用)が可能である。


ユニバーサル赤外リモコン

組立に関する一般的注意点
・基板的な回路図は「販売のご案内」ページ記載のものを参考にして下さい。

・回路図に記載の部品や定数は、同等品や機能上問題のない範囲で、変更となることがあります。

モード選択に関する補足
 受信側マイコン入力ポートのH/L組み合わせで、動作モードが決まる事を「販売のご案内」ページで述べ幾つかの例も示したが、説明が充分ではないと思うので、入力ポートの組み合わせ表を示し補足する。

18ピンPIC(16F628A)   NC:無接続 -:H/L不問(何れかに接続)
RA4RA3RA2RA1RA0
機  能
出力ポート初期状態
L
NC
L
L
L
トグル(反転動作)全てL
L
NC
L
L
H
択一 or 2chサイクルRB0のみH、他は全てL
L
NC
L
H
L
択一 or 3chサイクル
− d.o. −
L
NC
L
H
H
択一 or 4chサイクル
− d.o. −
L
NC
H
L
L
択一 or 5chサイクル
− d.o. −
L
NC
H
L
H
択一 or 6chサイクル
− d.o. −
L
NC
H
H
L
択一 or 7chサイクル
− d.o. −
L
NC
H
H
H
択一 or 8chサイクル
− d.o. −
H
NC
-
-
-
RS(Reset-Set)偶数ポートはH、奇数ポートはL


・不使用チャネルについては出力ポートを開放(無接続)とし、送信側でも該当キーを実装しない。

・サイクルモードでは最高位ch選択時にUPキーを押すと最低位chに移り、最低位ch選択時にDOWNキーを押すと最高位chに移る。即ち、UPキーとDOWNキーでは循環方向が逆になる。

・2ch択一動作はRS動作と等しい。また2chサイクル動作でキーを1個(UPまたはDOWNの何れか一方)とした物は反転出力付きのトグル動作と等しい。


28ピンPIC(16F873A)           -:H/L不問(何れかに接続)
RA4RA3RA2RA1RA0
機  能
出力ポート初期状態
L
L
L
L
L
トグル(反転動作)全てL
L
H
L
L
L
択一 or 9chサイクルRB0のみH、他は全てL
L
H
L
L
H
択一 or 10chサイクル
− d.o. −
L
H
L
H
L
択一 or 11chサイクル
− d.o. −
L
H
L
H
H
択一 or 12chサイクル
− d.o. −
L
H
H
L
L
択一 or 13chサイクル
− d.o. −
L
H
H
L
H
択一 or 14chサイクル
− d.o. −
L
H
H
H
L
択一 or 15chサイクル
− d.o. −
L
H
H
H
H
択一 or 16chサイクル
− d.o. −
H
-
-
-
-
RS(Reset-Set)偶数ポートはH、奇数ポートはL


・RA3をLにする事に依り2〜8chのサイクル動作が可能だが、当該動作で28ピンPICを使う理由がないので表には載せていない。


送信側製作例
 過去の製作例を幾つか紹介する。

TVリモコン  ・TVリモコンの不具合を受け作った、常時使う機能だけを盛り込んだリモコン。シンプルなタクトSWを使った。

 ・片面基板を使い、パターン面にタクトSWをマウントした。

 ・接着した2mm厚のプラスチック片(ABS)に、基板をネジ留めした。



照明用リモコン  ・照明用のリモコン。アクチュエータ用のボタン、キャップが別体のタクトSWを使った。

 ・印刷した紙をキャップ内に収納できるので、筐体にレタリングを入れる必要がない。

 ・この例では両面スルホール基板を使った。


リモコンキー  ・穴から出ているタクトSWキートップを押して操作する。「電源」については不用意に押されないようガード(赤いリング状の物=廃物利用)を付けている。

 ・右側の物は電波リモコン(天井裏に設置したアンテナブースタの電源ON/OFF用、RS動作)であるが、同じタクトSWを使っている。膜付きグロメットのゴム膜を介してSWを押している。(ON側グロメットは撮影用に外した)


受信側出力ポートの使い方
 ・PICはLEDを余裕で駆動できるので、SSR(ソリッドステートリレー)なら直接開閉できる。但し、ドライブ数が多過ぎる(ex.8ch全てに実装)と、トータルの電流供給能力が不足する危険がある。

 ・トランジスタを介してやれば上記の心配は不要である。

 ・アクティブローで使いたければ基本的には反転(NOT)ゲートを入れるが、RSモードの場合等ではセット側とリセット側を入れ換えて使うと良い。

応用上の留意点
 ・リモコンの性格上、意志に反してON/OFF操作をしてしまう可能性があります。制御対象が回転機器や発熱を伴う装置であれば、危険な事態に陥るかもしれません。

 ・安全対策を要するシステムが存在します。例えば3キーでモータの「正転-停止-逆転」の制御をする場合、モータが止まる前に逆転操作が有効になると危険です。受信回路自体にはインターロック機能はありませんので、別途の対策が必要です。


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