電気柵用電撃発生装置

 「D.I.Y.実践例」ページの記載内容では「フルトラ=強力版、CDI=省エネ版」の印象を受けるが、試行錯誤の結果「フルトラ=12Vバッテリ仕様、CDI=AC100V仕様」に落ち着いた。これは以下の理由による。

・フルトラ回路では発振周波数の調整により、「省エネ」〜「強力」まで設定が自由である。

・CDIでは絶縁型の昇圧トランスを使い商用周波数に同期して放電させると、簡単な回路で強力な電撃が得られる。


----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・意図的な悪用は論外ですが、形状や使用形態から人間も感電する危険は常に付きまといます。靴を履いた状態で触れても、かなり強烈な電撃です。より悪条件で感電(ex.水田の中で転び頭部で電柵線に触る)すると危険な場合もあり得ます。

・AC100V仕様では1秒間に50/60回放電しますが、「電気用品の技術上の基準を定める省令」の別表8によると「衝撃電流を繰り返して発生するものにあつては、次に適合すること。....出力電流が停止している時間を0.75秒以上とする装置を設け....」とあり、取得要件は満たさない(=商品として世に出すことはNG)ようです。さりとて、安価に入手できるCDIコイルの使用を前提とする限り、1回/秒程度の放電ではわざわざAC100Vを使う必要性が全くありません。
 ※バッテリタイプは電気用品安全法の対象外です

・以上のことから、使う人がご自身の責任において運用されるようお願いします。

・組み立てキット、部品等の販売を開始しました。

組み立て用資料、使用上の留意点等はこちら

これまでに寄せられた主な質問

フルトラタイプ

フルトラタイプ

補足説明
 ・C-MOSロジックIC、4093で作られた信号をパワートランジスタ(MOSFET)で受けIGコイルを駆動している。

 ・4093の最初(最左側)の1ユニットが無安定マルチバイブレータで、放電頻度を決めている。

 ・次の2ユニットが単安定マルチバイブレータで、コイルへの通電時間(=1回あたりの放電エネルギ)を決めている。

 ・最後の1ユニットは反転動作で、発振停止時FETが遮断するようにしている。

 ・VRを回すことにより、発振周波数を1Hz程度(省エネ)から40Hz程度(強力)まで調整できる。

 ・暗くなりCdSの抵抗値が上がると、4093のpin13がHレベルになり発振を開始する。

 ・SWを開くと明るさに無関係に発振する。動作確認(音で判る)や発振周波数(=放電頻度)調整時に使うと良い。

CDIタイプ

CDIタイプ

補足説明
 ・+の半サイクルでC1を充電し、−の半サイクルに入ったところでD3を通してSCRを点弧し放電させる。

 ・フォトカプラ2次側がONの時はSCRのゲート、カソード間がショートされるので、放電は起きない。

 ・暗くなりCdSの抵抗値が上がると、QがONとなりフォトカプラ2次側がOFFになるので放電を開始する。

 ・SWを開くと明るさに無関係に放電する。動作確認の他、絡んだ下草を枯らすのに使うと良い。

両波整流型CDI(参考)

CDIタイプ
※両波整流型はキット化されておりません。興味のある方の実験、研究用資料として掲載します。(部品はありますので必要な方は相談下さい)

※回路図にはありませんが、SCRが消弧しない(導通し放し)不具合時のトランス焼損を防ぐためヒューズ、ポリスイッチ等で過電流保護をして下さい。

※まともに感電すると強烈な電撃です。充分な注意をお願いします。



強力電撃装置の開発

 点火装置を流用した電撃装置を長年見てきた結果、以下の様な弱点に気付いた。

・電圧は高いものの、放電は一瞬であり電流としての持続時間は極めて短いパルス状の波形である。火花放電に依り、決められた点火時期に燃料に着火させると言う目的から、これはやむを得ない。

・1回あたりの放電エネルギーは100mJ程度(CDIに於いて、コンデンサの容量=2.2uF、充電電圧=300V として計算)であり、ガソリン混合気への点火には充分だと思われるが、絶縁の良くない電気柵で動物に有効な電撃を与えるには不満が残る。

・点火コイルの巻線比の関係上、不必要に高い電圧が発生するが、その分電流は小さく必ずしも電撃装置に向いた特性ではない。

 以上を踏まえて、強化策を考えた。放電エネルギーを高めるには、フルトラであれば1次コイルに流す電流の増大、CDIであればコンデンサの充電電圧を高めるしかない。勿論インダクタンスや容量の増加も有効だが、それらはエネルギーと比例関係に過ぎないのに対し、電流や電圧は2乗で効くので効果が大きい。

 序でに言うと、フルトラはコイルに溜めた磁気エネルギを使うのに対し、CDIはコンデンサに溜めた静電エネルギを使う。放電タイミングは「コイルに流す電流を遮断」に対し「コンデンサの充電電圧を短絡」であり、双対関係にある。

 処がこれらの対策を取ると、1次側電圧はより高い方向に行くので、2次側に発生する電圧は更に不必要なほど高まると言う不都合を生じる。巻線比の小さなトランスを使って2次電圧を押さえ、その分電流を増大させたい訳だが、昇圧比は使うIGコイルの巻線比で決まってしまうので、使用者としては手を加える余地が無い。

 1,2次側を逆にしたヒータトランス等も使ってみたが、巻線間の絶縁が保たず駄目だった。トランスの特注も考えたが、IGコイル(自動車部品)の魅力「丈夫」、「好入手性」、「中古なら安価」は捨て難い。

 フルトラ用IGコイルでは1次側に流したDCを断続して使うが、よく見ると1次コイル、2次コイルと共通の磁気回路を持つ、紛れも無いトランスだ。この当たり前の事実に気付いた時、解決策が生まれた。

 1次側に適当なAC電圧を掛けたら、2次側に昇圧されたAC電圧が得られる筈だ。1次側の巻線抵抗は1Ω程度と低いが、そこそこのインダクタンス(mHオーダ)を持つので、印加ACの周波数が適当であれば過大な電流消費は無いだろう。
 更に好都合な事には、巻線比がどうであれ印加AC電圧の加減に依り、発生する2次電圧を調整できる。

 以上の考察に基づき試作したのが下記の回路だ。

試作1号機回路図

補足説明
 ・4個のMOSFETに依るフルブリッジ回路でIGコイルを駆動している。

 ・電源電圧の利用率が良いのでフルブリッジとしたが、実験の結果48V電源を使ったハーフブリッジで充分と思われる。

 ・ハーフブリッジであればドライバIC、FETとも使用個数が半減する事に加え、ドライバICに発振回路内蔵品が使えるので回路がかなり簡素化される。

 ・JMP2を間欠動作側にすると、0.1秒動作、0.9秒停止を繰り返す。

 ・動作点照度の調整用に、50kVRを設けた。

 ・IGコイルの駆動周波数は約2kHz。

 ・出力端子間の開放電圧は約2kV。(10MΩ+10kΩを端子間に接続し、10kΩ両端をオシロで観測。かなり大きなリンギングが載った方形波)

 ・出力端子間の短絡電流は約35mA。(1Ωを端子間に接続し、両端をオシロで観測。概ね三角波)

 ・短絡電流と電源電圧の相関は弱い。有効な電撃を与える為には有る程度の開放電圧は必要だが、電撃装置を強力にする目的で徒に電源電圧を高めても効果は薄い。安全上の理由等で、電源電圧を下げて短絡電流を絞るのは意味が有る。何れにしろ電柵用に使う場合は、感電事故や火災危険性の見地から連続動作を避けるべきと考える。

 ・本電撃装置の等価回路は「定電圧源+内部インピーダンス」と考えられる。これらの概略値を調べる為の実験をした。手元に15kΩ2Wの酸金抵抗が23本有ったので、全数直列(=345k)と11直列を2並列(=82.5k)の2種類の負荷を用意し、出力端子に接続した。
 前者には6mA、後者には20mAの電流が流れた。電流測定は負荷に比べ充分に低い抵抗10Ωを直列に繋ぎ、10Ω両端の電圧波形をオシロで観測し、目測で概略値を得た。三角波のp-p値の1/4を測定値とした。厳密には三角波の実効値は波高値の1/2ではないが、波形観測に依る目測で細かい事を気にしても意味が無い。この結果より、定電圧源の電圧をE、内部インピーダンスをzとすると次式が成り立つ。

 E=(z+345)*6   ※zはインダクタンス分を含むので抵抗値と単純に足し算は出来ないが、簡易計算に付き目を瞑る。
 E=(z+82.5)*20

 これらを解くと、E=2250[V]、z=30[kΩ]となり、上記の「開放電圧は約2kV」とほぼ一致する。IGコイル2次側の抵抗を測ると10kΩ強なので、差異はインダクタンスに依るものと考えられる。

 ・本電撃装置では、調整可能なパラメータ(供給電源電圧、駆動周波数、デューティ比等)が複数有る。IGコイル(トランス)の能力(=伝達可能エネルギー)で決まる上限は有るが、電気柵用に限らない広範な電撃装置として使い得ると考えている。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

 ・従来品と比べると短絡電流(=対象物に流し込み得る電流の最大値)が、桁違いに大きいです。充分な注意をお願いします。発振周波数を高めるとインダクタンスに依る電流制限が掛かるので、短絡電流が低下します。(実験例:3kHzで25mA、6kHzで12mA)但し、電流制限を目的として周波数を過度に高めるのは、安定動作の上から得策ではありません。電流制限抵抗の採用を検討して下さい。

 ・連続動作や高デューティ動作(現状は10%、0.1秒動作/0.9秒停止)で使わないで下さい。感電事故、火災の危険性が有ります。電柵用に使う場合は、JMP2を設けない方が安全(誤操作に依る連続動作が起きない)です。

 ・短絡電流が連続的に流れると消費電流が急増します。DCバスラインにポリSWを入れておくと、誤操作や誤作動に依る連続動作に対する安全対策になります。

 ・以上の事から、使う人がご自身の責任において運用されるようお願いします。

※本稿試作回路を見直し、共振型ハーフブリッジ電撃装置を開発(2023年6月)

自作電気柵に依る感電死亡事故について
 報道等で記憶に残っている死亡事故としては「2009(平成21)年、淡路島」と「2015(平成27)年、西伊豆」が有るが、何れも商用ACの活線側をそのまま、若しくはトランスで昇圧した2次側をそのまま電柵線に繋いだ物との事で、電気柵とは言えない「単なる危険な裸電線」だった。処が、無知から来る誤解か意図的なものかは分からぬが、電気柵の自作は危険で完成市販品なら安心であるかの如き主張が散見される。危険な自作品の例示として当HP内写真を無断転載している不届き者も居るので、この際、見解を出しておきたい。

 ・商用ACやトランス2次側の直結は極めて危険

 凡そ電源は「定電圧源+内部抵抗」と見なせるが、商用ACラインや通常の電源トランスは内部抵抗が極めて低い。従って負荷抵抗が低ければ、容易に大電流を流し込める。人体の抵抗値が発汗や水濡れ等で1kΩに下がっていれば、100V電源ですら死ぬのに充分な100mAが流れる。
 淡路島の事故では100V活線(L側)を柵に直結とせず、100V2.5W電球(常夜灯に使うナツメ球)を直列に入れておけば、電流は最大でも25mAしか流れず違った結果になっただろう。但し、この電流でも感電し続けると危ない。

 ・以下に、「人体への通過電流値と影響」と「商用周波数の交流に対する人体反応曲線」を掲載する。これらは、日本電気技術者協会のHP(http://www.jeea.or.jp/course/contents/10102/)から引用させて頂いた。
人体への通過電流値と影響 人体反応曲線

 グラフから、感電時のダメージは人体通過電流の大きさだけでなく、通電時間も影響する事が分る。電気柵として使うにはAC-1領域では効果が無く、AC-3は死亡事故が起きてもおかしくない危険な領域と言えるだろう。
 一般住宅用の漏電遮断器は、感電事故防止が最重要目的なので15mAまたは30mAで0.1秒以内に作動する(漏電火災防止なら、もっと鈍くても良い)が、この特性であれば充分にAC-2に入り、理に適っている。

 電気柵用電撃装置にこのグラフを適用するとして、AC-2に入っていれば安全と言えるだろうか。例えば30mA流れる場合、200ms以下ならAC-2に入る。だからこそ漏電遮断器が0.1秒以内にトリップすれば、安全な(少なくとも重大な結果にはならない)訳だが、電撃装置の場合は反復して電流を流すので、1回の電撃を200ms以下に抑えても安全とはならない筈だ。
 表の記載内容や電流耐性に個人差が有る事を考えれば、最大でも10mAで間欠動作(=休止期間を設ける)としたい。5mA位が無難かもしれない。但し注意すべきは、電源の短絡電流がそのまま対象物に流れる訳ではない事だ。短絡電流は負荷が0Ωの場合に流れる電流で、理論上の最大値であり定電圧源の電圧を内部抵抗で割った値に等しいが、現実には負荷が0Ωと言う事は有り得ない。対象動物の抵抗値は、触れる部位や設置場所に依っては結構大きい場合も有るので、有る程度高い開放電圧が必要となる。

 以上の考察に依り、電気柵用電撃装置の仕様は、「高い開放電圧(数1000V)、効果的且つ危険ではない電流制限(適度に高い内部抵抗)、間欠動作(消費電力低減の意味合いも有る)」の様に、ほぼ自動的に決まる。この辺を押さえてあれば、市販、自作を問わず重大な結果を招く事は無い。
 尚、感電の周波数依存性だが商用周波数付近が最もダメージが強く、DCや周波数の高いACはそれより弱いとの事なので、上記資料で検討しても不都合は無い。

 商用ACを電源とする電気柵用電撃装置に於いては漏電遮断器の設置が義務付けられている様だが、漏電遮断器さえ有れば安全と言う訳ではない(と言うより、殆ど意味の無い設置義務だと私は思う)事に注意を要する。遮断器は装置の1次側に入るので、2次側(通常、1次側とは絶縁)で起きた不具合には対処できない。実際、西伊豆の例ではトランスで1-2次間が絶縁されており、2次側の誤用には無力であった。これが有効なら分電盤内の漏電遮断器(余程古い屋内配線でない限り、分電盤内の主幹開閉器は漏電遮断器)がトリップし、事無きを得た筈だ。淡路島の例では漏電遮断器設置は有効だが、動物が触っただけでトリップするので電柵の用を為さない。
 設置された漏電遮断器が役立つのは、装置の1-2次間絶縁が不良となった(まともな製品ならまず起きない)場合か、装置が水没でもした場合くらいのものだ。



共振を利用したハーフブリッジタイプ強力電撃装置

共振型電撃装置 補足説明
・IC2(IR2155)は発振回路を内蔵したハーフブリッジドライバで、蛍光灯用インバータに多用された。

・一般的な用途ではC8は単なる直流カット用で、負荷(この場合IGコイル1次側)より大幅に小さなインピーダンスとするが、本機では駆動周波数で共振する様な静電容量とした。

・1次インダクタンスのバラつきを吸収して共振状態を得る為にVR2を配した。

・商用ACと絶縁された電源を使う場合は1,2次間が繋がった一般的なフルトラコイルが使えるが、その場合にはコモン側(通常IG+)を接地側にする。

・本回路図の+12Vラインには、IC2内蔵のツェナダイオードから+15V程度のDCが供給されている。外部からDC12Vを供給する場合はR8不使用とし、内蔵ツェナの機能を止める。

・連続動作(Q2のオープン故障等でIC2が連続発振となり、高圧が休止時間無しで発生する事態)になると危険なので、斯様な場合にIC2の電源供給を止める回路を追加した。
 IC3(LMC555)に依るリトリガ単安定マルチバイブレータとIC4(4040)の組み合わせで、正常に休止期間が来る場合は4040が定期的にリセットされるのでQ12出力は決してHにならないが、連続動作に陥るとやがてQ12出力がH、その結果PNPトランジスタQ1がOFFとなりIC2への電源供給が遮断される。

・基板及び部品のセット販売を開始しました。
組み立て用資料、使用上の留意点等はこちら



ネオン変圧器を流用した超強力電撃装置

Ne変圧器 補足説明
・交流波形をクランプして作った台形波パルスを、12F629の5ピンに入れて割り込みを掛け、パルス数(1パルスが1サイクルに相当)を数える。

・5パルス分はSSRを導通し、45パルス分はSSRを遮断する様に制御している。7ピン(RA0)の出力が、LになるとSSR1次側の赤外LEDが点灯し、SSR2次側(トライアック)が導通状態になる。

・0クロス機能はSSR(正確に言えばトリガ用フォトカプラ)が担っており、マイコン側は何もしていない。

※本機を試用される場合は、絶対に連続通電とならない様、対策をお願いします。
 ウオッチドグタイマ等のマイコン誤動作対策は勿論の事、SSR2次側短絡故障の様な制御不能の事態であっても、安全に停止するよう配慮して下さい。
 具体的には電流波形を観測し連続通電(リトリガ可能の単安定マルチ等で判定。マイコンは不可)となったら、リモコンリレーをトリップさせる。或いはSCRを導通させヒューズを飛ばす等が考えられます。平均消費電流の監視では上手く行きません。(2次側開放時と地絡時で消費電流が大きく異なるので)



EEスイッチ改造

EEスイッチ改造

補足説明
 ・MOC-3041はトライアックのトリガ用フォトカプラ。トライアックとともにSSRキットの構成部品として秋月で入手可能。

 ・写真ではコンデンサに0.47μ400V(2G474)を使っているが、ここでは1.2μ400V(2G125)としている。フォトカプラ1次(赤外LED)電流確保の観点から、増量した。

 ・10Ωは異常時、焼き切れるよう(但し配置に注意→基板から浮かす。他の部品から離す)にあえて1/6Wを使っている。本来はヒューズやポリスイッチを使うべき。

 ・回路図では抜けているが、ICのpin4をVddラインにつなぐ(=オープンにしない)

ソフトウェア
PIC版EEスイッチソフトウェア



ダウンロード(ソースファイル)


ダウンロード(hexファイル)
 解凍してお使い下さい。
・初期設定(電源投入時のリセット直後になされる一連の処理)
 使用機能のセットアップやポートの設定を行う。本機では、初期状態で消灯(GP1がL)としている。
 バイメタルを使ったEEスイッチでは電源投入直後には点灯である。

・初期設定完了後の無限ループ
 Vin(AN0への入力電圧=47kとCdSによる分圧)を直ちにA/D変換し、Vdark,Vbrightと比較する。
 Vbright≦Vin≦Vdarkの時は何もせずA/D変換に戻る。
 Vin<VbrightまたはVdark<Vinの時は何秒か待ってから再度A/D変換し、その時も前記条件が成立していれば、夫々消灯または点灯した後、A/D変換に戻る。
 以後、上記の繰り返し。

・Vbright,VdarkはデジタルデータでありデータROMに収納されている。

・何秒か待ってから再確認することにより、短時間の照度変化に反応しなくなり実用的な物になる。

・マイコンでは回路を変更することなく、待ち時間の設定もソフトで出来る。しかも長時間の設定や点灯時と消灯時で待ち時間を変える事も自由である。

・時間の精度は必要ないので、内蔵クロック(4MHz)とし割込は使っていない。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・マイコンソフトが必要であればダウンロードできます。(フローチャート右側にリンクあり)

・ソースはCCS-Cコンパイラで書いています。

・Vbright,Vdarkは夫々データROMの0番地、1番地に収納しています。初期値はCEh,A0hです。必要に応じて書き換えて下さい。データROMなのでCコンパイラがなくても書き換えできます。

・データ書き換えによる動作点の微調整には、分圧抵抗を100kとする(現行47k)ほうが良さそうです。(使うCdSにも依りますが)

LED省エネ照明

LED省エネ照明

補足説明
 ・PICマイコンのプログラムは前項「EEスイッチ改造」と同様である。但し、マイコンへの供給電流を大きくできない(20mA程度のLED電流のON/OFFのために数mA使う訳には行かない)ので、フォトカプラではなくダーリントンTRを駆動し、クロックは外付けCR(30kHz程度)としている。

 ・高々20mA程度の電流なので、ブリッジダイオードを使わず半波整流としても良い。

 ・基板を並列に増設して、点灯LEDを増やすこともできる。整流回路や点滅回路は共用できる(増設枚数にも依るが)ので、増設基板には実装不要である。

 ・直列に増設することも可能である。これにより、赤、緑、赤外と言ったフォーワードドロップの低いLEDを高効率(=電流制限抵抗での損失低減)に点灯したり、倍電圧整流やAC200Vでの点灯に対処できる。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・hexファイルはここからダウンロードし、解凍してお使い下さい。ソースは前項「EEスイッチ改造」とほぼ同じです。

・CdSがLEDの光を直接受けると、暗い時に連続点灯ではなく点滅(一種の発振状態)となります。直接、受光しない工夫をして下さい。動作点の調整で対処できるので厳重な遮光は不要です。

・動作点の調整は前項と同様、データROMの書き換えでやります。

・プリント基板、部品等の販売を開始しました。
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 屋内壁付灯の回路は基本的には上記回路図と同じだが、LEDを42個(RGB各14個)に増量、R1を15mA定電流ダイオードに変更、半波整流の採用が相違箇所である。センターoffの3PトグルSWをLEDカソード側に設けており、切換によりGNDに落とすと連続点灯、Qのコレクタに接続すると自動点滅となる。

 LED提灯の回路図と制御回路及び基板の外観を以下に示す。
LED提灯
LED提灯基板
・逆並列LEDを36組直列にした回路(計72個のLED)を1枚の基板に実装している。これを4枚用意し、AC100で駆動。

・1個の4013によるT-FF(トグルフリップフロップ)で簡単にタッチSWを構成できると考え、2/2ユニットをバッファに1/2ユニットをT-FFとした回路(図中のAをピン3に直結)を組んで試したところ、人体に誘起されるハムを積分回路で連続波形にした信号ではエッジがだれておりT-FFが機能しなかった。トランジスタによるシュミットトリガを試した(図中のB、Cをそれぞれピン12、3に直結)が、記載の回路定数では良いものの消費電流を減らすべくコレクタ抵抗を上げると波形がだれ駄目だった。結局4584を追加せざるを得なくなり、最初から8ピンPICを使えば良かったと悔やんだが後の祭りだった。マイコンだとソフト変更で対処できるので、視力も体力も衰えてきた年代には負担が少ない。その意味では、年寄りこそマイコンをマスターすべきだろう。

・暗い時にタッチ電極の場所が分かるようにと考え、SCRのアノード、カソード間にネオン管をつないだ(照光スイッチと同じやり方)のだがLEDのフォワードドロップがあるので消灯時でも20V位しか出ずネオン管は点灯不能であった。ただこの場合は100kΩを経由した漏れ電流(100μAオーダ)によりLEDが薄点灯するので照光スイッチは不要(怪我の功名)だった。メカSWで同じ事をする場合は接点間に高抵抗を噛ませる必要がある。

・その後、8ピンPICを使ったタッチスイッチを作ったので、次項に紹介する。(2009年8月)

 ここで種々のLED実装例を紹介する。
側面発光LED
・上段:側面発光チップLED(日亜NSSW008BT 秋月扱い)を専用基板に実装した例。この状態で発光面は右側。

・中段:その点灯状態

・下段:基板を挟んで背中合わせ(=逆並列)にLEDを実装した物の点灯状態、LEDの発光面が全て同方向を向いている。この基板を4枚提灯に組み込んだ。

・LEDを交流点灯するとちらつきが出るが、適度なちらつきが人目をひくような用途(例えば提灯)では問題にならない。


表面発光LED
・上段:表面発光チップLED(シャープGM5BW01311A 秋月扱い)をユニバーサル基板(0.1inch両面)に実装した例

・次段:その点灯状態。15mA定電流ダイオード2本並列で電流制限。改造した照明器具のスモールライトとして使っているが、無理なく新聞を読める程度の明るさ(客観性のない表現!照度計を用意しなければと考えている)が得られる。この基板を10枚程度用意すれば主照明として使えそうだ。

・三段目:当該LEDを専用基板に実装した例。0.1inchユニバーサル基板ではハンダ付け及び配線が面倒。当該LEDは4点マウント(写真で言うと上2点がアノード、下2点がカソード)だが専用基板では片持ちの状態(左側の2点)でハンダ付けせざるを得ない事に不満が残る。2点でも対角線上なら良いのだが。とは言え配線の手間が要らないのは捨てがたい。振動を受けながら使うのでなければ問題ないと思われる。

・下段:4mmピッチの基板(サンハヤトAT-1S)に実装した例。4点が上手くランドに載るので好都合。86×43(定尺の半分)に40個実装している。四つ目パターン(サンハヤトAT-40S)を使うと配線の手間も大幅に減り更に好都合。



8ピンPICによるタッチスイッチ

PIC版タッチスイッチ

補足説明
 ・回路図中の部品番号は、現在販売中のプリント基板の表示に合わせている。

 ・上記回路ではブリッジダイオード+SCRによるACスイッチを使っているが、SCRをFETに換えることも可能である。

 ・ACスイッチに於いてスイッチ素子をSCRとする場合、Z1=100kで済むため僅かな待機電力で済むが、電源投入直後はSCRがONである。C5が充電されマイコンが働き始めるまでの2秒位の間、スイッチがONとなることに注意を要する。

 ・スイッチ素子をFETとすれば上記現象から逃れ得るが、FETを確実にONにするための対策が必要となる。Z1=100kではマイコンの動作電圧が4Vを割るので不都合である。

 ・負荷が軽ければ(ex.LEDで100mA程度)、Z1=100kのままでダーリントンTr(2SC982等)とすることも可能だが、Tr残留電圧による損失(発熱)に注意する必要がある。

 ・スイッチOFF時にLEDを薄点灯させる場合は、SCRによる他、敢えて耐圧の低いスイッチ素子を使う手法もある。

ソフトウェア
タッチスイッチソフトウェア

・概ね1ms毎にA/D変換を繰り返し、待機状態(=タッチ待ち)で2回連続A/D値が所定値を下回った場合にタッチと見なし出力を反転する。

・反転直後のA/D変換では、250回連続A/D値が所定値を上回った場合にタッチ解除と見なし待機状態(=タッチ待ち)に戻る。

・マイコンがACと絶縁された電源で作動している時は、電極タッチによりきれいな方形波(正弦波をクランプした波形なのでエッジは鈍い)が得られるが、非絶縁電源では負荷のON、OFFやプラグの向き(=接地、非接地側の別)により、得られる波形が異なる。しかしながらノイズにより波形が乱れるのは確かなので、A/D変換によりタッチを検出することとした。

・マイコンの消費電力を押さえるため、12F683を起用し内部クロック(125kHz)を使った。31kHzではA/D変換のインターバルが長すぎる懸念があるので125kHzとしている。基板に若干のフリースペースがあるので、12F675を外部CRモードで使っても良い。


ダウンロード(ソースファイル)

ダウンロード(hexファイル) 解凍してお使い下さい。

・GP2の初期状態はL(FET向け)です。SCRを使う場合は初期状態をHにする必要があります。ソースの45,46行を選んで(不要な方をコメント行とする)下さい。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・プリント基板の販売を開始しました。書込済のPIC、その他部品については相談下さい。

・基板実装例を以下に示します。

タッチスイッチソフトウェア
・<上>SCR実装例 <下>FET実装例

・2Pコネクタ(日圧VH型):負荷の接続用

・リード線:タッチ電極へ接続

・ネジ端子:AC100V入力



ユニバーサルタイマ

ユニバーサルタイマ

補足説明
 ・ここでは2CH(GP0,GP1)ともタイマ出力としたので、PICは12F629で間に合う。

 ・上記回路は機能確認用の実験回路だから入出力端子にはそれぞれタクトSW、目視確認用LEDを接続しているが、実際には目的に合った物を接続する。

 ・START SWは基板上のタクトSWなので内部プルアップとしたが、実使用時には接点容量や設置場所等を考慮して適当なプルアップをする。

 ・RESET SWはパワーオンリセットを兼ねて10kでプルアップしているが、実使用時には実態に合ったプルアップ抵抗とコンデンサを選ぶ。

 ・スタートやリセットをSW操作で人為的に与えているが、外部信号と連動させても良いことは言うまでもない。

 ・電源は定電圧化された5Vである必要はなく、電池(3Vで充分働く)やAC100Vを整流してツェナダイオードでクランプした程度の簡易な物でも構わない。

ソフトウェア
ユニバーサルタイマソフトウェア

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・仙台電子工作同好会の製作時配付資料がここにあります。資料中の回路図に一部誤りがありますが、本項記載の回路図(上記)が正解です。説明の都合上、ソースファイルに行番号が付いています。コピーして使う時は取って下さい。

・hexファイルはここからダウンロードし、解凍してお使い下さい。動作設定に必要なデータROMは初期値として全て0になっています。目的に合った値に書き換えて下さい。

・ご要望に合わせたデータ書込済のPIC、その他部品の販売を開始しました。

センサライト(Xeフラッシャ版)

Xeフラッシャ

補足説明
 この工作では、通常では入手困難な部品(キセノン管、トリガトランス、急速放電用ケミコン)が必要となるが、使い捨てカメラの部品を流用することで賄っている。カメラから基板を取り出して、上記回路図の破線部分を仕立て作動するところまで持って行ければ、半分は完成したようなものだ。使い捨てカメラは複数のメーカから出ており、同メーカであってもモデルによって回路が微妙に異なるが基本は同じである。

カメラ基板 左から順に
1.カメラから取り出した直後

2.不要部品を外したところ
 黄色いのはトリガトランス(テープの色だから黄色以外もある)。残してあるフィルムコンはC10相当品(22nだが使える)。

3.必要部品を追加して完成
 ここではC11として2.2μのフィルムコンに換えた(高速点滅のため)ので、ケミコンは付いていない。
 メーカが違うので、左側2つとは形が違う(基板も切断している)。

※使用課程で出てきた問題点(要改善点) 2008,5,27
・C10として22nFが使える旨を述べたが、カメラに使われていたフィルムコンデンサの流用は避けた方が無難。容量的には問題ないが耐圧に不安がある。上記回路が作動しなくなったので調べたところR10が焼損していた。SCRの消弧ミスかと思ったがC10が絶縁破壊を起こしたためであった。C10としては400Vの表示があるカメラの部品(22nF)をそのまま使った。400V耐圧品にしては極端に小さいという印象を持ったが、やはり実力値は低かったようだ。使い捨てカメラでは良くても長期間使う物には向かないと言うことだろう。
・R10を必要以上に低くしない(=SCRがトリガする時点でC10の充電が完了していればOK)方が良い。今回はC10の短絡故障により焼損した訳だが、1MΩ位にしておけば焼損は免れた。キセノン管の発光頻度からすれば上記回路では1MΩでも何ら問題はない。

 Xe管が発光する仕組みを考えるのに上記回路図は些か複雑だし、基板改造後のチェックにも役立つのでより簡単な回路図を以下に挙げる。

Xe基本回路
 左図は原理図。
 カメラではDC-DCコンバータで高圧を作る点が異なる。

 右図はサイリスタによるトリガとした物。
 警告灯等にそのまま使える実用回路。

 R10、トリガトランス1次側を介してC10に溜められた高圧(280V)を、一気に放電させる回路であり、電気柵で使ったCDIと同じ動作をしている。

 キセノン管では、対向した主電極間にC11の充電電圧280Vが掛かっているが、それだけでは放電しないのでトリガトランス2次側から補助電極(=始動電極)に高圧のパルスを与える。そこで起きた局所放電をきっかけに、C11の充電電荷が雪崩的に放電し発光する。

 カメラから外した基板から、不要部品を取り去るが、C11としてケミコンを使う時はそのまま流用する。C10も多くの場合流用できる。
 ランプの補助電極は2つの主電極のいずれか一方に近い側にあり、その主電極がコモンになるように回路を組む必要がある。(遠い側との間では局所放電が起きない)
 ここでは−(マイナス)をコモンとしているが、メーカによっては+コモンとし、対向電極に−の高圧を掛けている例もあるので注意する。
 ランプ基板が完成したら主コンデンサを280Vで充電し、CR接続点をコモンに落とす事でランプ部の機能確認が可能になる。

 上記回路の内、SCRトリガの物(右側の回路図)を組み込んだ実物があるので紹介する。

Xe警告灯
 収納した入れ物は、トラックのサイドマーカランプ(ソケット部を除去)である。

 上は基板の取付状態、下はレンズを装着した状態である。

 レンズ色は数種類あるので、パトライト(商品名)の代わり等、種々の目的に使える。

 上記の回路定数で、1秒間に4回程度発光する。

 C11をケミコンのままにしたのでは、発熱でXe管が持たないので2.2μのフィルムコンにした。

 C1は手持ちの関係で10μとしたが、もっと小容量で良い。

 

ソフトウェア
センサライト(Xeフラッシャ版)ソフトウェア
ダウンロード(ソースファイル)

ダウンロード(hexファイル) 解凍してお使い下さい。

・65m秒毎にタイマ0割込をかけている。
 195ms(割込3回分)点灯、780ms(割込12回分)消灯のインターバルで、高輝度赤色LEDを点滅している。
 上記点滅は周囲の明るさ、侵入者の有無に依らない。
 これにより、動作表示をするとともに、侵入しようとする人に心理的な圧力を加える。

・Xeランプ発光後、1秒間の時間潰しをする。
 カメラのケミコンをそのまま使っているので、高頻度の発光はできないからである。
 充電時間が充分にあるので、C1は1μF程度のフィルムコンで間に合う。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・商用交流をそのまま使っていることから、屋外で風雨に直接曝される場所 (軒下等はOK)で使うことは避けた方が賢明です。

・サイドマーカは防滴性は殆どありません。バッテリ電圧(=自動車用)では浸水しても大して問題になりませんが、商用交流では漏電します。

・センサライトではガスケット付きのケースを使っていますが、これとて完全防水ではありません。見かけ上のシールを厳重にしても呼吸作用(温度変化に伴う気体の膨張収縮)による水分の浸入があるので、適度に空気が出入りできる方が有利な場合があります。

・他人に不用意に閃光をあびせるとトラブルになる場合も考えられます。設置場所や動作時間帯に留意して下さい。因みに、当方の設置例ではタイムSWを併用し、まともな客なら来ないような時間帯にセットしています。

・ご希望があれば、部品の供給は可能ですが、組み立てた(=改造した)状態のXeランプ基板の提供については、ご容赦願います。種類が多すぎ、統一的な手法での改造作業が困難なためです。完成品のご要望があれば、相談下さい。

既存照明器具の改造

既存照明器具の改造

補足説明
 ・待機電力を減らすため、ACスイッチとしてSCR+ブリッジダイオードを採用した。SSR等を使うと1次側赤外LEDの駆動に5mA程度は必要なのでR1を100k(1mA程度の消費電流)で済ます訳には行かない。

 ・通常この手の回路ではSCRのゲート電流はICのVccライン(本回路では15V)から取り、ゲートカソード間にトランジスタを置きトランジスタのON/OFFでSCRをOFF/ONするが、上記省電力設計により15Vラインからはゲート電流が賄えないので、140Vラインより27k(R4)を介してゲート電流を取っている。

 ・ゲートカソード間をトランジスタでショートする回路では待機時、R4に電流が流れるので、Q2,Q3を配し待機時電流をR3(100k)に流している。

 ・電源投入時、R1(100k)とC2(10μ)によりICが定常状態になるまで若干時間が掛かる。その間にSCRが一瞬点弧する(定常状態になるとパワーオンリセットにより消弧する)のを防ぐため、C3を使っている。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・手持ち部品の関係で5A級のSCRを使いましたが、23W電球型蛍光灯4個には過剰感があります。必要以上に大きなSCRを使うと省エネ設計には不利になります。

・使うSCRによって回路定数を変える必要があります。負荷が大きい場合は大きなSCRで直接負荷電流を開閉せず、ACリレーを使い0.3Aクラスの小型SCRでリレーコイルを駆動するのが得策です。

全般照明のLED化

LED主照明  ・この回路図は日亜製LED導入前の物で、白色、電球色を別個に調光するため、PWM(パルス幅制御)機能を2系統持つPIC16F873Aを使ったが、現行品は電球色1系統なので8ピンPICの12F683で済ましている。

 ・リモコン用赤外受光ユニットが3mA程度食うので、R1を100k(1mA程度の消費電流)で済ます訳には行かなかったが、単なる点滅や可変抵抗による調光の場合は、待機電力を0とすることも可能である。

 ・フル点灯すると50W超の電力消費があるので、力率改善のため分電圧平滑回路を採用した。C入力全波整流だと力率が0.6弱位に留まり、AC入力電流が大きくD1の発熱が無視できない。

LED主照明(台所)  ・この回路図は台所の物で、照度と人の動きを検出して自動点滅する。(壁SWにより連続点灯、強制消灯も選べる)

 ・自動点滅モードでは、動き不検出が所定時間続くと消灯する訳だが、いきなり消さずに数秒間の減光時間を経て予告消灯する。(減光時間中に動くと再びフル点灯となる)



LED主照明(トイレ)  ・測距モジュールの消費電流が大きいので、待機時は電源を供給しないようにする為、回路が若干複雑になった。LED点灯時の電圧でSSRを駆動し、SW電源(ACアダプタ)にAC100Vを入れている。最初から当該モジュールを使うと決まっていれば、もう少し無駄のない回路構成にできたのだが...

 ・人体検出時、測距モジュールの出力を受けたコンパレータにより、フォトカプラ(PC1)1次側が点灯しPICのGP1がL(内部プルアップ使用)になる。この時は動きが無くても点灯を続ける。

 ・今回の分電圧平滑回路ではC1、C2の印加電圧均等化の為、R7、R8を並列付加した。(使用過程で容量アンバランスが生じる可能性もあるので)

 ・測距モジュールは指向性が強い(=スポット検出)ので、今回の使用目的では感度調整(VRで実施)と向きの調整が不可欠である。



補足説明
 ・上記回路以外に、メカSWによる単純点滅(ICやFETは不要)や、可変抵抗による調光等(LEDスタンドその2で紹介)も可能である。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・メカSWによる点滅の場合はケミコンへの突入電流回避の観点から、DC側でON/OFFするのがお勧めです。(遮断電流が数Aに及ぶ場合は別ですが...LED基板1枚あたり20〜30mA程度なのでホームユースでは1Aを超えることはない筈)

・既存の壁SW使用のため、AC側でON/OFFせざるを得ない場合は、何らかのラッシュカレント対策(力率改善を兼ねたチョーク入力全波整流回路が合理的、不要安定器の流用可)をお勧めします。

※殆ど全てのタイプのLED(3,5φ砲弾型、表面実装、4本足等)をマウントで、きる基板と、整流回路やマイコン等を搭載し多種の用途(調光、センサによる自動点滅等)に対応できる制御基板の販売を開始しました。

LED全般照明の電源部改造

 これまで、少ない部品と比較的単純な回路で高力率が得られる事から、分電圧平滑回路を多用してきた。

 分電圧平滑回路にはリップルが大きい(70〜140V間、100/120Hzで変動)と言う弱点が有り、70Vより充分に低い電圧を取り出すBuckコンバータで使う分には問題無い(後述の50WパワーLED駆動回路で採用したMXHV9910がこれに当たる)が、40個程度の直列LEDに抵抗を介して接続する場合には、周期内の不点灯時間の存在と言う問題が有る。

 肉眼で分かる明るさの変動等、照明としての致命的欠陥は無いのだが、点灯電流(リップルに応じて変動するので平均値)に依っては、リップルのピーク付近で過電流となり得る。勿論、電流制限抵抗を充分に大きくしたり定電流ダイオードを使えば過電流とはならないが、LEDの持てる能力を充分に引き出した使い方ではなく不満が残る。

 日亜雷神の様なタフなLEDだと多少の過電流でも問題無いが、トイレの主照明に使ったB級品のLEDでは、使用過程で断線する物が散発した。そこでトイレの点灯回路の改造から手を付けた。昇圧コンバータ型PFCに依り定電圧化された出力電圧を作り、定電流素子を介して80数個の直列LED(基板2枚分)を点灯すると言うやり方だ。

 同様の手法はLDL40×2灯点灯回路で試み好結果を得ているが、上記回路との違いはヒト検知に依る自動点滅器能を持つ事だ。即ち、上記回路では壁SWの投入で初めて電源が供給され動作を開始するが、本回路ではAC100Vが常時供給され、ヒトを検知したら直ちに点灯する必要が有る。

 従って、チョークコイルの補助巻線から取り出したエネルギで、PFC用ICやヒト検知用電子回路の動作電源を賄うと言う手法は使えず、何らかの手段で別途供給する必要が有る。

LED主照明(トイレ改良版)

 ・SSC2005SC(サンケン)は臨界モード型力率改善用制御ICだが補助巻線レスで動くので、インダクタの選定が容易(既製市販品から選び得る)である。

 ・FSD210B(Fairchild)はスイッチング電源用ICで、ここでは非絶縁型DC-DCコンバータとして、SSC2005SCやヒト検知用電子回路の動作電源を作り出している。メーカの”Typical Application”に12V100mA出力の回路例が有ったので、少し手を加え15V程度の出力(12VだとPFCの動作に不安が残る)が得られるようにした。

 ・上記”Typical Application”に依ると、入力電圧としてDC120〜375Vが許されている。PFC非動作時のDCバスライン電圧140V、動作時電圧280V双方が範囲内に有り好都合である。

 ・DC-DCコンバータの出力電圧15Vは、マイコン基板に常時供給されヒト検知に備えている。検知後はPNPトランジスタSWを導通させ、PFCと測距モジュールにも15Vを供給する。15Vを受けたSSC2005SCは直ちに発振を開始し、バスライン電圧が280Vに跳ね上がるのでLEDが点灯する。

 ・測距モジュールの平均消費電流が30mA程度(@Vcc=5V)と比較的大きく、DCバスラインからの抵抗ドロップに依る電源供給は無理なので、改造前にはやむを得ずACアダプタを併用していた。本回路ではDC-DCコンバータを使ったので、ACアダプタを廃止した。但し、測距モジュールの瞬間最大消費電流が160mA位に達する(投光用赤外LEDパルス駆動時)ので、5Vの3端子レギュレタはシリーズタイプではなくスイッチングタイプとした。


LEDスタンド

LEDスタンド 補足説明
 ・AC100Vを全波整流したDC電圧を、44個の直列LEDに印加するだけの単純明快な回路である。

 ・SWによる単なる点滅のみで、調光はしていない。SWはDC側(LED点灯電流)に入れている。この電圧でDCを開閉する場合アーク切れの考慮が必要となるが、遮断電流が50mAにも満たないので問題にならない。

 ・AC側にSWを設ける場合はC(ケミコン)への突入電流対策として、R1に10Ω1W程度の抵抗(酸金抵抗はパルス負荷に弱い--このような場所に使った酸金抵抗が、定常時許容損失には問題ないにも拘わらず断線する事例を複数回経験している--ようだ。巻線がお勧め)を入れるとよい。

 ・R2によりLEDの点灯電流を制限しているが、抵抗ではなく定電流ダイオードの方が電圧変動の影響を受け難い。

 ・ACライン電圧が低め或いは変動の大きい所ではLEDの個数を減らすと良い。


各部外観
 <上>ランプ部 <左下>電源部正面(操作部) <右下>電源部裏蓋を外したところ

 ・白いレバーが点滅用トグルSW、黒いノブはマグネットベースの磁力ON/0FF用。

 ・マグネットベースの吸着面は下面、背面の2面があるので多様な固定方法で使える。

 ・フレキシブルパイプにはクーラントライナ(トラスコ中山商品名)を使った。本来の用途は機械加工時、ワークやバイトに切削液を供給するための物である。

 

 



----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・AC100Vを直接整流して使う物なので、十分に注意して作って下さい。商用交流からの直接整流電源を扱いたくない場合は、7LED×6列を24Vスイッチング電源で点灯すると良いでしょう。11LED×4列の36V点灯、15LED×3列(内、1列は14個)の48V点灯も可能です。言うまでもなく、各列毎に電流制限が必要です。LEDのフォワードドロップが大きい場合、上記個数の直列回路に充分な電流を流せないことがあるので事前確認が必要です。

・ポリSWやヒューズによる過電流対策をして下さい。ブリッジダイオードが短絡故障した場合に危険です。

・点灯状態のLEDを正面から直視しないで下さい。網膜等に障害を起こす危険があります。使用者以外の方(特に、子供等)も直視することのないよう配慮して下さい。

・ランプ部プリント基板、電源部プリント基板、部品等の販売を開始しました。

※殆ど全てのタイプのLED(3,5φ砲弾型、表面実装、4本足等)をマウントできる基板と、整流回路やマイコン等を搭載し多種の用途(調光、センサによる自動点滅等)に対応できる制御基板です。僅かな手直し(0.2mm幅のパターンカット)で24VDC等による点灯にも使えます。

調光機能付きLEDスタンド

LED調光スタンド 補足説明
 ・PIC12F683のPWM機能を利用し調光している。

 ・VRに依って分圧されたアナログ信号をA/D変換し、そのデータに応じたデューティ比のPWM出力でFETを駆動する。

 ・SW(オルタネートプッシュタイプ)に依りZDへのブリーダ電流を開閉しているので、投入時のケミコンへの突入電流及び消灯時の待機電流とも発生しない。

 ・デューティ制御にマイコンを使いたくなければ、4001(4077でも可)に依る非安定マルチバイブレータでも良い。この場合、ZDを12V程度の物とするとFETの選択肢が広がる。(4V駆動品でなくても使える)
 但し、VRを絞りきっても完全にデューティを0には出来ない(=薄点灯する。LEDの場合、1/500位のデューティでも点灯が目視確認できる。)懸念があるので、完全消灯が必要であればS付きVRを使うと良い。



50WパワーLED駆動回路

50WLEDdriver 補足説明

 ・ICへの供給電流(1ピン)をON/OFFしているので、点灯時のケミコンへの突入電流及び消灯時の待機電流とも発生しない。またSWの接点容量も小さくて良い。

 ・ICの動作電源は内蔵ツェナダイオードではなく、外付け品(ZD2)に依って作っている。これに依り駆動能力向上の余地を残している。

 ・R2はAC100V投入時のケミコンへの突入電流防止用。

 ・R3、R4はケミコン(C1、C2)の容量にアンバランスが生じた際(ex.経年劣化)に、充電電圧が偏り耐圧超過となる事を防ぐ。

 ・本回路図では必要最小限の部品を示したが、実際の基板にはノイズ対策用の部品(L、C、バリスタ等)がマウントできる。


 ・プリント基板、部品等の販売を開始しました。




ビデオマトリクスセレクタ

ビデオマトリクスセレクタ

補足説明
 ・選択CH表示用7segLEDの駆動には、ダイナミック点灯ではソフトが面倒なのとポートも足りないことや4511等の7segLEDドライバを使うと1〜4CHに対し表示が0〜3になることから、ROM(2732A)とD-FFを組み合わせたスタティック点灯を採用した。アドレスポートを10本しか使っていない(A10,11はグランドに落としている)ので、より小容量のROMでも良い。

 ・トランジスタによるバッファや6dBのビデオアンプの回路については、下記を参考にさせて頂いた。
  トランジスタ技術1992年4月p.316
  「AVマトリクス・セレクタの製作」 河村裕美

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・リモコン送信側(PIC16C57C)のhexファイルはここにあります。ダウンロード後、解凍してお使い下さい。

・7segLED表示用データのhexファイルはここにあります。ダウンロード後、解凍してお使い下さい。

・セレクタ本体のソフトウェアは、開発時の資料が整理されておらず行方不明です。ご希望があればマイコン本体から読み出したhexファイルをアップする用意があります。

門柱灯制御回路及び電球置換型LED

制御回路

補足説明
 ・省エネを狙い、47k経由でAC100Vを半波整流し5.1Vツェナダイオードでクランプしているが、47kに於ける電圧降下が大きい(=ツェナダイオードに殆ど電流が流れない)ので5.1Vを下回る。(3.5〜4.5V程度、デジタルSWの位置--プルアップの本数--により変動)

 ・サイリスタのゲートが100kを介してアノードに吊られている。従って、Q(デジトラ)がONの時はゲートカソード間が短絡されサイリスタが遮断(消灯)し、OFFの時はサイリスタが導通(点灯)する。

 ・負荷を白熱電球としたので、バルブサイズの大きめ(=放熱面積大)なE-17ベースのクリプトン球と磁器製の変換アダプタ(E26→E17)を併用し、器具ソケットの温度上昇を抑えた。

ソフトウェア
門柱灯制御回路ソフトウェア
   ダウンロード(ソースファイル)

   ダウンロード(hexファイル) 解凍してお使い下さい。

電球型LED

補足説明
 ・基板1〜3は専用基板、基板4はユニバーサル基板を使用。

 ・専用基板には36個のLEDを実装できるが、使ったLEDの特性によりもっと多くの個数を点灯できる(36個にすると定電流ダイオードの電力損失に不安が残る)ことが分かったので、1枚をユニバーサル基板とし40個の直列回路と他の3枚のプラスα分を実装した。

 ・E-26ベース(電球の口金)は、寿命の尽きた電球型蛍光灯から取った。

 ・4枚の基板の連結には、サイコロ状(1cm角)のプラスチックで各面にネジを切った物を利用した。

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・専用基板販売中です。
 LEDの個数が多いので、ユニバーサル基板では配線が大変です。

無線リモコン付きACアウトレット

無線リモコン外観
 シガーソケットに組み込んだ物は試作にとどまり使われずに放置されていたのだが、地上デジタル放送の受信開始に合わせて導入したブースタアンプの電源ON/OFFに使う(電源部を天井裏に設置したので簡単に電源を落とせない。10Wは待機電力として無駄にするには大き過ぎる)べく改造した。

 左側は受信機、右側は送信機、何れもカバーを外した状態

 白いIV電線は受信側アンテナ


設置状態
 天井裏での設置状態(灰色コードはブースタ電源部の物)

 拙宅では天井裏にも配線を施し、コンセントや照明を使えるようにしてある。


回路図

補足説明
 ・送受信モジュールはRF Solutions社製の微弱電波用の物、データ処理用のエンコーダ、デコーダはHOLTEK社製の物。何れも(株)アイ・ピイ・アイで扱っている。

 ・ブリッジダイオードとSCRによるACスイッチの使い方は上記「門柱灯」と同じだが、受信モジュールの消費電流が3mA程度あるので半波整流時の電流制限抵抗は10kΩまで下げざるを得なかった。それでも待機電力は1W未満(使った測定器の最小目盛が1Wで表示値が0のため測定不能。Whメータの円板は殆ど動かない。因みに門柱灯では全く動かない)で済んだ。

 ・デコーダの出力(D8〜11)は正論理なので、PNPTr(2SB642:手持ち品、他品番も可)で論理を反転している。出力D9を使えばPNPTrは不要だが、その場合は電源投入直後(=停電復帰後)の状態がONとなる。


定時放送支援装置

回路図

装置内部 補足説明
 ・電波時計から時刻情報を得て定時刻にリモコン信号を送出している。

 ・「主要開発品」ページ記載のブロック図ではDVDプレーヤの消費電流を監視して番組終了の検出をするようになっているが、実験したところモータの消費電流が少なく無理があった。そこでDVDプレーヤ内部に手を加えディスクの回転を非接触で検出(反射型のフォトセンサ)するようにした。

 ・電波時計基板の裏側に電池を配置している。

 ・トランジスタによるバッファや6dBのビデオアンプの回路については、下記を参考にさせて頂いた。
  トランジスタ技術1992年4月p.316
  「AVマトリクス・セレクタの製作」 河村裕美

ソフトウェア
定時放送支援装置ソフトウェア
   ダウンロード(ソースファイル)

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電波時計用LED表示装置

回路図

補足説明
 ・電源投入(リセット)後、6分半程度経った時点(=受信状態が正常であれば現在時刻を取込済)で電波時計からシリアル通信により時刻情報を取り出す。

 ・以降は秒パルスを受け取るたびに割込を掛け処理を進める。(分パルス等も入っていれば表示を更新)

 ・割込から抜けメインルーチンに戻って来た時にCdSの出力をA/D変換し、照度に対応したLEDの点灯度合(PWM制御)とする。

 ・リセットSWや強制的にシリアル通信をさせるSW(RA4に接続)は基板上のタクトSWであり、筐体外部には出ていない。(開発時の都合で設置、通常使用時には不要)

 ・増設子機用のモジュラには秒、分、時、日パルスラインをPNPオープンコレクタを介して出してある。子機側ではフォトカプラで受ける。当該子機にもPNPオープンコレクタを付けておけば下流に更に子機を増設できることになる。

 ・子機は受けたパルスを処理して時刻表示をするだけなので、表示素子は7segLEDに限らず何でも良い。時計機能を内蔵していないので、電源投入後や停電復帰後、日パルスが来る迄は正しい時刻表示とならない。

   ダウンロード(ソースファイル)

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高力率蛍光灯インバータ

 専用ICが出回っている事もあり、適当なチョークコイル(安定器に相当する部品)さえ用意できれば、蛍光灯インバータの製作は面倒なものではない。専用ICとしてはIR(InternationalRectifier)社のIR2155等が知られているが、発振回路とFETのハーフブリッジを駆動する回路と言う必要最小限の機能を内蔵した8ピンの物である。IR2155は既に廃品種となり8ピンタイプで残っているのはブートストラップ用ダイオードを内蔵したIR2153Dくらいで、主流は多機能(管寿命末期の保護、フィラメントの余熱、力率改善等)を盛り込んで多ピン化された物のようだが、IR2155やその互換品もRSコンポーネント辺りではまだ入手可能のようだ。(最近-'08,5月-秋月電子のカタログにIR2155が載ったが、誰かが買い占めたと見えあっという間に消滅した。現在-'09,8月-復活しており購入可能)

 IR2155によるインバータ(30Wリング管--FCL30--1本を駆動)の回路例を以下に示す。
従来型インバータ回路 ・AC100Vをケミコン直結のブリッジダイオードで全波整流している(コンデンサ入力型全波整流回路)ので、DCバスライン(R1やQ1のドレインがつながっているライン)には140V程度が供給される。

・Q1、Q2は若干のデッドタイムを挟んで交互にオンオフするので、中点(Q1ソースとQ2ドレインの接続点)電位はDCバスライン電圧とGND間でスイングする。

・スイング電圧のDC分をC6でカットし、L2で電流制限をして蛍光管を点灯する。L2は従来の安定器に相当する物だが、点灯周波数が高いので小型の物で済む。

・C7は点灯周波数でL2と共振するような値としている。共振時の高圧大電流でフィラメントを素早く予熱し、放電を開始させる。

・D2はブートストラップ用ダイオードでQ2がONの時C5を充電し、そのチャージがQ1を駆動するエネルギー源になる。

 コンデンサ入力整流回路では、入力電圧がコンデンサの充電電圧より高い期間しか電流が流れないので、電流波形は電圧波形と全く異なるパルス状の波形となり、実効値の増大により力率が低下する。(力率の本来の定義は電圧と電流の位相差の余弦だが、ここでは有効電力と皮相電力の比率の意味)
 パルス的な波形には高調波が大量に含まれており、その弊害が無視できなくなって来たので規制されることになった。現在ではインバータエアコンは勿論の事、個々の機器は小さくても台数の多い照明器具も対象となり、蛍光灯用インバータでは35W以上が規制対象となっている。
 製品で使われている力率改善回路は専用ICが手に入れば作れなくはないが、昇圧型のチョッパを組むのでチョークコイルとMOS-FETが追加で必要となり、趣味の範疇で気楽に試みるには些か複雑な回路だ。そこで下記の手法で改善を試み、良い結果を得たので報告する。

   1.チョーク入力全波整流回路を使う。(銅鉄型安定器を流用、従来品の改造にお勧め)
   2.分電圧平滑回路を使う。

 但し、32W以上の管では点灯時の電圧が高い(銅鉄型安定器でもオートトランスとして昇圧している)ので、同じ回路は使えない事に注意する。30W迄は複数駆動(FCL30×4本の実施例あり)も含め対処できる。
高力率インバータ回路

 上記回路図で、上がチョーク入力整流回路、下が分電圧平滑回路を使ったインバータである。前者は整流ダイオードとケミコンの間にチョークコイルを挿入している事を、後者は複数のケミコンとダイオードを組み合わせて直列充電、並列放電する事を特徴としている。コンデンサ入力整流回路では電流波形がパルス状だが、上記回路では何れも通電期間が拡がるので実効値は低下し力率が向上する。
 DCバスライン電圧はコンデンサ入力の場合、正弦波の最大値でケミコンが充電されるので140V程度になるが、チョーク入力の場合は100V強のほぼ一定値にとどまる。分電圧平滑回路ではより複雑で、リップルが大きいと言う弱点(この所為で用途が限られる)がある。70Vと140Vの間を100/120Hzで上下し、実効値は100V強になる。但し、2階建ての個々のケミコンでは、印加電圧が75V程度で大きなリップルはないので100V耐圧品が使える。
 何れにしろ、DCバスライン電圧はコンデンサ入力よりも低く同じ回路定数で蛍光灯を点灯すると暗くなるので、若干の調整を要する。上記回路例では、R2を10kから12Kにする事で発振周波数を下げて管電流を確保している。発振周波数の変更に伴い共振コンデンサ(C7)を22nFから33nFに増量した。
 分電圧平滑回路ではDCバスライン電圧の最小値付近で立ち消え状態に近付き、スタート時の共振が起きる可能性がある。全ての種類の蛍光管で試した訳ではないが、20W管(FL20)では再共振の傾向が見られた。分電圧平滑回路の適用例はIR社のアプリケーションノートにも載っており、「力率改善の安価な手法」として紹介されている。そこでも"restrike"と言う表現で再共振の言及があり、対策例としてDCバスライン電圧の変動に応じ発振周波数を変える手法が載っている。今回の試行ではそこまではせず、共振コンデンサに噛ませたバリスタを以て一応の対策とした。(気休め的だが。L2の調整等により再共振を押さえ込むのが正道だろう)

 コンデンサ入力整流回路と分電圧平滑回路について入力(AC100V)の電圧波形と電流波形を以下に示す。
電圧電流波形
・上がコンデンサ入力整流回路、下が分電圧平滑回路。

・何れも正弦波が電圧波形。

・コンデンサ入力整流回路ではパルス状の電流波形だが、分電圧平滑回路では電流の途切れる期間は少ない。

・写真の掲載はないがチョーク入力整流回路の場合も、途切れる期間は少ない。(但し、電流波形は非正弦波)

・実測結果ではコンデンサ入力の場合、力率が0.6前後になる。

・チョーク入力の場合、作り放しで(特に調整等をせずに)0.9前後の力率が得られた。

・分電圧平滑回路の場合、負荷電流に対しケミコン容量が充分であれば、ほぼ100%の力率が得られた。また、ケミコンが小さめで力率改善が今ひとつでもACラインのコンデンサ(C1)を1μF位まで増量すると高力率となる。只、ケミコンだけで充分に高力率が得られている時にC1を増やすと逆効果であった。このように、得られた結果により若干の調整を要する場合がある。

※「複数点灯」の項でも触れるが、DCバスラインへのフィルムコンデンサ(1〜4.7μF程度、大リップルにつきケミコンは不可)追加が有効な場合が多い。


 上記インバータを実際に器具に組み込んだ例を紹介する。これらの物は既にコンデンサ入力タイプのインバータとして5,6年ほど運用してきた物だが、今回の力率改善効果に気を良くして再改造した。
30W用器具
・組み込んだインバータと点灯状態(撮影のためカバーを外している)

・ヒートシンクは基板保持の為の構造材として使っているだけで、放熱用としては不要

・鉄板をプレスしたホルダには、元は点滅用のプルスイッチが付いていた。

・収縮チューブ内部の物は共振コンデンサ

・分電圧平滑回路を採用したのでケミコン(47μF100V)が2個使われている。

・基板裏側(ハンダ面)には直付けタイプのヒューズホルダがある。

・R2=12kΩ,C4=1nF → fosc=58.8kHz

・L2=330μH,C7=33nF

・消費電力:28W 力率:C1を1μFに増量することによりほぼ100%

※ IR2155の発振周波数
   fosc=1/(1.4*(R2+150Ω)*C4)

27W用器具 ・蛍光灯スタンド(27W:FPL27)に組み込んだ例

・購入当初からインバータ(ハーフブリッジ、自励発振)だったが、壊れたのを機にIR2155を使ったタイプに換えた物を、再改造した。そのため部分的にユニバーサル基板が載っている。

・FETには、耐圧に余裕がないが極端な低ON抵抗なのでSUP85N15-21(秋月扱い)を使ってみた。低ON抵抗は良いのだが入力容量が大きいので、R1を下げ(10kに変更)ブリーダ電流を増やす必要があった。

・点滅用のスイッチはR1と直列としブリーダ電流を開閉している。これにより小容量の接点で済む上に突入電流の問題もない。

・R2=15kΩ,C4=1nF → fosc=47.1kHz

・L2=500μH程度(推定値),C7=33nF

・消費電力:23W 力率:ほぼ100%

15W用器具
・屋外用壁付灯(15W:FL15)に組み込んだ例

・チョークコイルには壊れた電球型蛍光灯(23W)から外した物を使った。

・R2=15kΩ,C4=1nF → fosc=47.1kHz

・L2=700μH程度(推定値),C7=33nF

・消費電力:17W 力率:ほぼ100%

13W用器具 ・クリップライト(13W:FPL13)に組み込んだ例

・ユニバーサル基板が載っている箇所に安定器が付いていたのだが、あまりに発熱がひどい(耐熱ABSケースが熱くて触れない)ので、インバータに換えた物を、再改造した。

・チョークコイルには1mHドラムコア(スピーカ用ネットワークの部品)を使った。

・R2=18kΩ,C4=1nF → fosc=39.4kHz

・L2=1mH,C7=15nF

・消費電力:11W 力率:ほぼ100%



 ここで、キーパーツであるチョークコイル(L2)と共振コンデンサ(C7)について触れておく。
 30W及び27W器具で使ったチョークはTDK製のフェライトEIコアにリッツ線を巻いて作った物で、ボズシのDIYコーナー「チョーク・コイル製作記」で公開されているデータを使わせて頂いた。それによると、EI25サイズのフェライトコア(PC40材)に0.4mmのギャップを設けリッツ線(0.08φ×30本)を50.5回巻きで330μH、74.5回巻きで650μHが得られる。実際、何個か作ったが再現性も良く、リッツ線の採用が効いてると見え殆ど発熱しないのが良い。尚、50.5回巻きで概ね4層、74.5回巻きで概ね6層となる。コアとボビンのサイズから、巻くのは6層が限度(きっちりと詰めれば80回以上巻けそう)である。
 30W器具では330μHを使ったが、27W器具では概略5層巻きとした物(インダクタンスの実測はしていない)を使った。仕様の決まった物を沢山作るのでなければ、得られたチョークコイルに合わせて発振周波数や共振コンデンサを調整して仕立てるやり方で不都合はない。即ち、希望の消費電力になるよう発振周波数を調整し、その周波数で上手く点灯するよう共振コンデンサを決める訳だ。但し、やたらに点灯周波数が高くなる(例えば70kHz超)のは避けるべきである。その意味ではW数の小さな蛍光灯(10W以下)ではインダクタンスの大きなチョークが必要となるので、上記手巻きコイルの適用は難しいし、15W,20Wでは650μHが使えるがコアボリュームからするとオーバスペックで勿体ない。

 次に共振コンデンサだが、点灯開始時だけでなく点灯中も連続的に高周波の高圧が掛かり厳しい動作条件に曝されるので、少なくともAC250V耐圧かDC630V耐圧品を使う。欲を言えばPPフィルムコンデンサを使いたいところだ。

 従来型器具の改造であれば安定器を流用したチョーク入力をお勧めする。DCバスライン電圧が安定しており、再共振の様な嫌らしい現象を心配する必要がないし、安定器をゴミとして処分しなくて済む。尚、この場合の安定器に於ける電圧降下は微々たるもので発熱も殆どなく、30Wの管に20W用安定器を使ったり複数点灯の器具に1個の安定器を使う事も可能である。

 複数点灯について試み、幾つかの事が分かったので書き留めておく。(2008/05/31)
 コンデンサ入力(低力率)の場合、ケミコン容量とFETの放熱に問題がなければ点灯本数を単純に増やせるが、高力率型ではそうは行かず注意すべき点がある。適用例はサンハヤト製のライトテーブル(BOX-W9B)で、主に感光基板の露光に使う物であり10Wの蛍光管(ケミカルランプ)が6本内蔵されている。カバーを外した状態を以下に示す。
内部(オリジナル)
・6本の蛍光管を6個の安定器及び6個のグローランプと組み合わせた何の変哲もない回路。

・メカニカルタイマを使い点灯時間を決めている。

・消費電力:95W(安定器の損失がかなりある)

・力率:61%


 高力率インバータ(6灯並列駆動)を組み込んだ状態を以下に示す。基板がよく見えるように蛍光管を外して撮影した。
内部(インバータ化)
・木板上の基板がインバータの主要部、パンチメタル上の基板には6個のインダクタ(電流制限用チョークコイル)とヒューズが載っている。

・グローランプを外した場所に共振コンデンサを配置した。

・使用FET:SUP85N15-21、ヒートシンク不使用。

・スイッチング速度向上を狙い、R1を6.6k2W(3.3k1W×2)としブリーダ電流を増やした。またFETのゲート抵抗(R3,4)にダイオードを(チャージ引き抜き方向に)抱かせた。

・R2=16kΩ,C4=1nF → fosc=44.2kHz

・L2=1mH,C7=15nF

・消費電力:66W 力率:100%



 最初は30W用安定器1個によるチョーク入力(以下、L入力)回路を試みたが、最終的に分電圧回路に落ち着いた。その経緯と得られた知見について触れておく。
 L入力の場合、蛍光管を6本つないだ状態で電源を投入しても点灯しなかった。1本の場合は問題なく点灯し、2本であっても何とか点灯はするが、3本以上になると点灯しない。1本が点灯している状態で電源を落とさず管をソケットに追加装着して行けば6本でも点灯するが、最初から3本以上装着して電源を投入すると点灯しない。L入力ではDCバスライン電圧が低め安定なので元々放電開始には不利な面があるが、管の本数(=負荷電流)が増えると安定器の巻線抵抗分による電圧降下が増え、ますます不利な方向へ行くと考えられる。
 これは電流制限に使うインダクタ(L2)との兼ね合いもある。即ち、L2のQが高く鋭い共振特性が得られれば、DCバスライン電圧の低下をものともせず放電開始できる可能性がある。ここで使ったインダクタは誰もが容易に追試できるよう一般市販品(TDK SL1215-102KR51-PF)とした。1mHのドラムコアで電流定格から問題なく使えそうと判断(実際、発熱もなく使用可能)し選んだが、サイズ的には小さめで直流抵抗分も1Ω弱あり高いQは期待できない。
 この仮説を確かめるべく、手巻きチョークコイル(太めのリッツ線を使っておりQは高いと思われる)とFCL30を2組用意し、30W用安定器1個によるL入力回路をバラックで組んで実験した。予想どおり放電開始はしたが充分な明るさが得られない。電力測定をすると1本で28W(まともな明るさ)なのだが2本になると40Wにも届かず、1本あたりでは10W代という有様だった。これはDCバスラインの電圧低下がまともに影響した結果で、1本では110V位あるのが2本にすると90V近くまで下がってしまう。明るさを確保するために点灯周波数を下げれば、増えた電流によりバス電圧が下がるという悪循環が生じるので、妥協点を見出すのは難しいかもしれない。妥協点があっても安定器が発熱するようでは無駄な電力損失を出すことになりナンセンスである。結局、L入力による蛍光管の複数点灯は充分な事前検討が必要で、コンデンサ入力のように機械的に負荷を増やす訳には行かない事が分かった。
 L入力に拘るのであれば複数の安定器を並列にして使う手もあるが、それでは軽量化につながらないので分電圧回路で纏める事にした。分電圧回路ではDCバスライン電圧が平均では100V強だが周期的に140V位まで上がる瞬間があるので、コンデンサ入力ほどではないにしろ放電開始には有利である。実際6本セットして電源を投入すると問題なく点灯した。
 只その時の力率が低く(60%程度)、60W強の消費電力に対し1A位の入力電流が必要だった。管の装着本数を1本から順次増やして行くと2本までは高力率(ほぼ100%)だが、3本目から60%程度に低下する事が分かった。対策としてケミコン容量の増量とAC入力部へ1μFフィルムコンの追加を試したが何れも効果がなかった。DCバスライン-GND間へのフィルムコン(2.2μF)追加で劇的な改善が見られた。試験的に増量したケミコンは47μFに戻した。バスラインへ接続するコンデンサが大き過ぎると実質的にコンデンサ入力となり逆効果である。バスラインに乗っているスイッチングノイズを除去できる程度の容量が効果的のようだ。

その他の実施例
 FL10×5灯(分電圧平滑回路)
 ・R2=16kΩ,C4=1nF → fosc=44.2kHz
 ・C7=15nF,L2=1mH(TDK SL1215-102KR51-PF)
 ・消費電力:56W 力率:100%
 ・力率改善策
  DCバスライン-GND間へ0.9μFフィルムコン付加

 FL15×6灯(分電圧平滑回路)
 ・R2=12kΩ,C4=1nF → fosc=58.8kHz
 ・C7=22nF,L2=680μH(TDK SL1720-681K1R0-PF)
 ・消費電力:96W 力率:ほぼ100%
 ・力率改善策
  DCバスライン-GND間へ4.4μF(2.2μF2パラ)フィルムコン付加
  ケミコン(C21,C22)を100μに増量
  C21-C22間へ10Ω2Wを付加(D22と直列)

----------------------- ※製作を考えている方へ -----------------------

・AC100Vを直接整流して使う回路なので、短絡、漏電、感電事故に注意して下さい。

・特に、今回の回路を実用品として機器に組み込む場合、ヒューズは必須です。過電流保護がないとFETが短絡故障を起こした場合に危険(最悪、火災となる)です。

・照明器具を改造した場合、メーカ保証はなくなり有償修理も拒否される可能性があります。ご自身の判断と責任で実施して下さい。

・管寿命末期の保護対策等はしていないので、倉庫や看板その他高所取付等の点灯不具合を放置されがちな用途は避けた方が無難です。点灯不具合を見つけたら直ぐに電源を落とす、当該の管を外す(複数点灯の場合)等の処置で多くの場合インバータ破損は免れます。6年間使った30W4灯器具(居室の主照明なので高稼働率)で共振コンデンサが絶縁破壊を起こした際、直ぐに当該管のコネクタを抜き事なきを得ました。

・複数の蛍光管を点灯する場合は、C6の後にチョークコイル(L2)、蛍光管、共振コンデンサ(C7)を並列に追加して下さい。(C6は1個で可。点灯本数によってはFETの放熱が必要となります。)高力率型ではありませんが、FCL30を4本点灯する回路(実際に、拙宅で6年くらい使っていた物)を下記に示すので参考にして下さい。

30W4灯インバータ回路

 発振の間欠停止による減光の手法はボズシのDIYコーナー 「インバーター基板の製作」を参考にさせて頂いた。市販器具では発振周波数の調整により調光するのが一般的である。
 DCバスライン電圧が140V近くあるのでナツメ球の点灯割合を70%程にしている。高力率型では100%点灯で構わない。

・試作レベルのプリント基板、その他主要部品、数に限りがありますが販売可能です。


UV-ROMイレーサ

 今時、UV-ROMなんてと言われそうだが、蛍光灯のインバータ化に手を染める切っ掛けとなった物でもあり、資料として残しておくのも無駄ではあるまいと思う。
 AKI80等UV-ROM搭載のマイコンボードを弄っていた頃、紫外線による消去装置が必要となったが製品を買うのも莫迦らしいと思い、6Wの殺菌ランプを電池駆動の蛍光灯ランタンにセットし使っていた。そのうちランタンが壊れたのだが、屋外使用する物ではないので無理に修理することもないが、さりとて銅鉄型安定器を持ち出して100Vで点けるのも面白くなかった。何よりも嫌だったのはランタンの回路ではフィラメントを予熱せず、あたかも冷陰極管のように使っている事だった。その様な経緯から蛍光灯インバータの調査研究を始めた。
 下記に回路図(現在も使っている最終型)を示す。
UV-ROMイレーサ回路
・電源ONと同時に7555(C-MOS版555)がタイマ動作を開始し所定時間(5分程度)が経過すると7555の7ピン(discharge、オープンドレイン)がLになる。

・それによりIR2155の3ピンが強制的にLに落とされるので、発振が停止し消灯する。

・ROMを出し入れするための扉を開けるとリミットスイッチにより電源が遮断され消灯する。



イレーサ外観 正置状態外観及び底面

・アクリルネジを通して点灯を確認できる。

・アクリル板部分が裏蓋でROMの出し入れ時に開閉する。

・アクリル板に付いているゴム足は開閉用ノブを兼ねている。


イレーサ内部 裏蓋を開けた状態及び外カバーを外した状態

・裏蓋内側には導電スポンジを張り付けてある。(ROMを挿すため)

・マグネットキャッチで裏蓋を受けている。

・蝶番の傍にマイクロスイッチ(リミットスイッチ)が見える。




スロープ昇降回路

回路図 補足説明
 ・トグルSWが上昇(UP)側の時はQ2とQ3が、下降(DOWN)側の時はQ1とQ4が導通する事に依り、正転、逆転が実現する。

 ・デッドタイム(上下FETとも遮断する時間)を設けていないので、高速度で状態を反転させる動作には向かない。実際、SW切換時に一瞬アーム短絡(上下FETとも導通)が起きるが、手動SWで切り換える分には問題にならない。

 ・ウォームギア減速機なので、トグルSW開放後直ぐに停止するが、惰性で回る構造や誰が操作をするのか分からない場合は、モータ停止まで逆転動作を禁止する機能(インターロック)が必要となる。

 ・センターoffトグルSWでは問題とならないが、一般的には正転動作と逆転動作を同時には受け付けない機能(インターロック)が必要となる。



蓄電システムブロック図

ブロック図

補足説明
 ・SPC-005の許容入力電圧が150Vなので、パネルを4直列とした。

 ・DC負荷として使っているのは今の処、充放電モニタ(受信部)、時計、玄関(軒下)照明等だが、拡張できるよう配線(天井裏に、プールボックス配置)を済ましてある。


ライン、インバータ切換回路

回路図

補足説明
 ・ラッチングリレーのコイル電源は、インバータで賄われている。故障時に切換不能となるので、商用ACでも使える(切換またはDC100V対応品を使いダイオード合成)様にすると良い。コイル電源を商用ACのみにすると、停電時に同様の不具合が有るので両電源対応が望ましい。


充放電モニタ送信部及び時間管理用制御盤

回路図

補足説明
 ・深夜料金時間帯(11pm〜翌朝7am)には、無条件でSSR2がONとなる。それ以外の時間帯では、CVCC基板上のマイコン(PIC12F1822)が、蓄電池の電圧に応じSSR1を断続する。

 ・6V鉛シール電池(WP4-6)は、2個のLM317で電流制限付きの定電圧充電される。その意味で、CVCC(Constant Voltage Constant Current)と表現した。

 ・SPC-005パネル端子に流入する電流が過大にならない様、LM358の#1ユニットからなるヒステリシスコンパレータがDC-SSRを断続する。#2ユニットは電流センサの電源電圧(出力電圧に影響するので安定度が必要)を作っている。


スチールキャビネット用測温表示回路

回路図

補足説明
 ・冷却ファン制御用にSSRを実装した。(41℃に達したらON、37℃まで下がったらOFF)


LDL40×2灯点灯回路

回路図
補足説明
 ・昇圧コンバータ型PFCなので、出力電圧を140V(=AC100Vの最大値)以下にはできない。必然的に直列点灯となる。

 ・LM317が負担する電圧(IN-ADJ端子間電圧)を必要以上に高くすると、無駄な電力損失(発熱)を生じる。定電流領域を外れない(R2印加電圧の測定で判断可能)ぎりぎりの出力電圧となる様に、R1を調整すると良い。

 ・インダクタ(L)として、TDKのSL1720-681K1R0-PF(外装ケース無しのドラムコアインダクタ、680μH 1A)に、補助巻線として0.32φのラッピングワイヤを12回巻足した。主巻線との電位差が大きいので、通常はテープ巻きを要するが、テフロン被覆のラッピングワイヤに依り不要となる。

 ・補助巻線の本来の役割はインダクタ電流検出だが、IC(NJM2375)動作電源の供給も担っている。この電圧が安定し、所定の出力電圧が立ち上がるまで少し間があるので、瞬時点灯にはならない。



LEDダウンライト1灯点灯回路

回路図
補足説明
 ・FL10用安定器で電流制限を掛けたACをブリッジダイオードで全波整流し、ケミコンと負荷(NDN16601)を接続しただけの単純な回路(電子回路とは言えないレベル)である。

 ・ケミコンレスとしても、ちらつきもせず点灯するが、当然リップルは大きい。リップルの山でも定格電流(172mA)を超えない事を条件に在庫品からケミコンを撰んだ結果、330μF200Vと言うかなり大きな物となった。

 ・大容量ケミコンだが安定器の存在に依り、電源投入時の突入電流は無い。

 ・ケミコンの耐圧は、LED断線故障時でも問題にならないレベル(最低160V)を確保する必要が有る。

 ・ACライン中に安定器が有るので、誘導負荷となり位相が遅れる。2.2μFのフィルムコンで進相させ、力率改善を図っている。



LEDダウンライト3灯点灯回路

回路図

補足説明
 ・基本的には、LDL40×2灯点灯回路と同じ回路である。

 ・出力電圧(点灯要求電圧)と点灯電流の違いに依り、回路定数(R1:760k→820k、R2:3.6Ω→7.5Ω)を変えている。

 ・手持ち部品の関係上、動作に影響の無い範囲で定数を変えている箇所(ローパスフィルタのコンデンサ等)も有る。



押しボタン照光スイッチ

回路図 補足説明
 ・内蔵抵抗に依り照光LEDは12V直結で点灯する。

 ・AC100V半波整流波形で点灯させるので、33kを追加した。

 ・負荷は、前述のLEDダウンライト(NDN16601)を4灯直列で駆動する回路である。ケミコンへの突入電流が有るので、TRIACを使いゲート電流をSW接点で開閉している。

 ・軽い抵抗負荷であれば、SWで直接開閉しても良い。(接点定格:AC250V3A)

 ・TRIACマウント基板は、SSRキット(秋月K-00203)の物を流用した。



日の出日の入り時刻内蔵の自動点滅器

回路図
補足説明
・秋月の電波時計はシリアルポートを持っており、"DATE"+CRLF、"TIME"+CRLFのコマンドを送り込めば、それぞれ日付及び時刻が文字列で帰って来る。

・時計から得られる毎正分パルスでマイコン(PIC12F1822)に割り込みを掛け、上記コマンド(最初に"TIME"、1秒後に"DATE")を時計のシリアルポートに送る。

・時計からの返事(時刻と日付)は、XBeeが受け取り電波として送信する。

・受信側(投光器)のマイコンにはPIC12F1840を使った。365日分の日の出日の入り時刻のデータがかなりの量になり、2KWのROM容量(=12F1822)には収まらない。

・1840の7ピン(TX)には、受信データを元に計算した結果(0amからの累計分数と元旦からの累計日数)を出している。開発時にはターミナルソフト(Tera Term)で読み取りデバッグに使った。現状では目視確認(毎正分に2回の点灯が、正常動作の必要条件)用のLEDが接続されている。

・自動点滅器ではあるが、トグルSWの切換で強制的な点灯や消灯とする事も可能。

・日の出日の入り時刻は仙台のデータを使用した。日の出日の入り時刻ではかなり明るいので、日の出20分(変更可)前消灯、日の入り20分(変更可)後点灯とした。

・時計内のXBeeは、ブロードキャストモードでデータをばら撒いている。同じPAN IDに設定したXBeeを用意すれば、複数台で受信できる。



サイクル間引き回路

回路図
補足説明
・[導通サイクル]+[遮断サイクル]の繰り返し波形が得られる。それぞれのサイクルは独立に、0〜99の範囲で設定できる。

・導通サイクルが0の時は遮断(連続OFF)となる。

・遮断サイクルのみが0の時は導通(連続ON)となる。

・熱的な慣性が大きい電熱器等の電力調整に有効と思われる。トライアックに依る流通角制御と違い、力率低下、高調波やノイズの発生が無い。

・機能確認用の試作ゆえデジタルSWを使っているが、実用機として纏める場合は、ロータリエンコーダ+表示器が良いと考える。



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